志村けんの遺産が10億円というのは“少ない”
相続の手続きが進んでいないのは確かなようだ。
前出の親族は、いらだちを隠さない。
「三鷹の家だって放っておけば、傷んで資産価値が下がるし、治安が悪くなり、近所にも迷惑がかかる。“早く相続しなさいよ”って言ってやりました。事務所にはずっと美佐男が通っていたんだから、いずれは彼の息子が継ぐのが自然だろうね」
志村さんの遺産は10億円ともいわれたが、長年、芸能界のトップで活躍してきたのだから、もっと多くてもおかしくはない。
「志村さんの遺産が10億円って、確かに少ないですよね。あれだけ活躍したのだから、最低50億円は持っていそうですよ。でも、おカネの使い方は激しかった。20年ほど前ですが、私が勤めていた銀座のクラブには週に3、4回は来ていました。毎回、ダチョウ倶楽部の誰かなど何人か連れてきて、支払いはすべて志村さん。100万円単位で置いていきました。同じ日に何軒か回っていたそうだから、1日にいくら使っていたのかなって」(銀座の元ホステス)
ただし、巨額な相続税も発生する。相続が遅れることに問題はないのか。弁護士法人 天音総合法律事務所 正木絢生代表弁護士に聞いた。
「相続に関連して、コロナ禍を理由に延長が可能なのは、相続税の申告・納付期限についてです。通常は10か月以内という期限が定められていますが、コロナ特例にて、延長できます。しかし、それでも1、2か月程度でしょう」
遺産分割については、今の制度上は特に期限が定められているわけではない。
「遺産分割が終了するまで、何年もかかるケースもあります。制度上は期間が定められているということはありません。ですから、志村さん所有の不動産の名義の変更が遅れていることと、コロナ特例は関係していないと思われます」(正木弁護士、以下同)
民法の改正が予定されており、不動産の相続登記は「相続を知った日から3年以内に相続登記をすること」が義務化されることになるという。
志村さんの遺族は数億円の相続税を、不動産整理をせずに、どうやって支払ったのか。
「志村さんが、たくさんの現金を所有していて、そこから支払われた可能性は高いと思います。その場合は、遺族の同意書を作成する必要があります」
稀代の喜劇王が遺したものは、あまりにも大きい。