ピンチをチャンスに変えてきた小池栄子
そんな生き方の原点は、中学時代に経験した実家の没落だろう。祖父はパチンコ店の経営などで長者番付に載るほどの実業家だったが、父の代に会社が傾き、自社ビルも手放すことに。お嬢さま育ちだった小池は「一獲千金」を夢見て芸能界に飛び込んだことを著書で明かしている。
つまり、危機を転機にかえる生き方がここから始まったわけだ。そのうえで、役に立ったのがオジサン受けのよさ。彼女は子どものころ、実家のパチンコ店に通うその日暮らしのオジサンからチョコレートをもらったりして「人が好きになった」と語っている。このあたりに、太田光などの大物芸人はもとより、村上龍のような作家にも可愛がられる素質が垣間見える。
なお、こういうタイプは女性に嫌われがちだが、女子校育ちの彼女はそこもある意味ぬかりない。健康番組で医師に「死ぬかもしれない」と言われるほどの便秘を告白。女性ウケしそうな正直キャラを見せてきた。そうこうするうち、便秘薬のCMにも出るようになったのだから、まさに危機を転機にかえる名人といえる。
ところで、彼女の夫はバラエティー番組で「乳吸い」という企画をやったことがある。スタッフいわく「日本一のおっぱいを楽しめている男が世界の動物の乳を吸いに行く」というものだ。そのスタッフが小池にも話したところ「亘くんは面白い人なんですけど、そういう面がなかなか出せない」として、
「面白く料理してもらえるんだったら、私のおっぱいなんてフリに使ってください」
と、笑って答えたという。
思えば、巨乳グラビアアイドルブームも遠い過去。消えた人も多い中、バストを女優人生の前フリのようにできたのが彼女だ。尼将軍にもひけをとらない「圧」はますます強まっていくに違いない。
PROFILE●宝泉薫(ほうせん・かおる)●アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)