舞台は客の目の前で演技する一発勝負だ。その意味でドラマや映画以上に、演者やスタッフたちが一丸となることが求められる。

「一丸どころかイライラが募り、まとまりのない稽古場でしたね……。演者と演出側が揉めだすと、“はいはい、また始まった”と休憩じゃないのにタバコを吸いにいく人が出るような始末。舞台出演の多い藤田さんに相談するスタッフもいました」

稽古場に響いた「What is serious !?」

 そんなある日のこと……。

「演出側が役者1人ひとりに演出を付けていたときのことです。“このシーンはちょっとシリアスに”、“このシーンはちょっとコメディな感じにしたいんですよ”といった具合に。これまでみんなが溜め込んでいた鬱憤を晴らそうとしてくれたのか、藤田さんが“コメディもシリアスにやらないと面白くならないでしょ! “ワット イズ シリアス!!??”と稽古場で一喝したんです。あなたにとっての“シリアス”ってどういう意味で言っているの、と……。

 そのとおりだと思いますし、それまで演出スタッフに不満のある人ばかりだったので、皆の気持ちを代弁するような一喝だったと思います。その瞬間は衝撃かつ納得ではあったんですけど、次の瞬間、昔のあの英語でキレた会見を思い浮かべてしまって……(苦笑)。ちょっと笑いをこらえました。まぁその喝が効いたのか、その後はまとまりはして、無事公演となりました」

 舞台は『政見放送』――政治も演技も、表に出ない裏側がやはり面白いということで……。