BTSやTWICEなど、K-POP文化の広まりとともに、韓国ブームのひとつとして辛ラーメンは世界中で人気を博している。現在は世界の約100か国で販売され、米紙『ニューヨーク・タイムズ』のレビュー記事では、世界で最もおいしいインスタントラーメンの1位として「辛ラーメン ブラック」が挙げられた(2020年6月)。

辛ラーメンの特徴である「辛さ」を通じて、「楽しさ」を体験できる取り組みを計画中
辛ラーメンの特徴である「辛さ」を通じて、「楽しさ」を体験できる取り組みを計画中
【写真】溶けたチーズとピリ辛味がたまらない!チーズタッカルビ風汁なし辛ラーメン

「人気の理由は、現地の文化に迎合せず“韓国本場の味を気軽に味わえる”という信念を持った商品開発にあると考えています。各国で発売されている商品の味や原料には大きな違いはなく、世界中どこでも本場韓国と同じ味を楽しんでいただけるようになっています。一方、日本向けに辛さを抑えて開発された『辛ラーメン キムチ』は韓国でも人気が高まり、いわば逆輸入されるような形でヒット商品となりました」(高木さん)

チーズに牛乳、広がるアレンジレシピ

 日本でも韓流ブームや激辛ブームの高まりとともに辛ラーメン人気が拡大し、今ではスーパーやコンビニでも気軽に買える定番商品のひとつとなった。TRUE DATAの調べでは、2021年6~8月の国内販売個数ランキングでは「サッポロ一番 塩らーめん」「マルちゃん正麺 醤油味」に次ぐ3位に入っている。一方、辛いラーメンという特徴から、辛いものが苦手な層にはなかなか手にとってもらえないという販売戦略の難しさもあるようだ。

「コロナ以前は全国の商業施設にキッチンカーを出し、試食イベントを行うなどのプロモーション活動も積極的に行っていました。多くの方々に辛ラーメンを認識・体験していただく貴重な機会になったと考えています。ここ数年はコロナ禍の影響もあり、キッチンカーの実施は難しい状況ではありますが、それ以外でもEスポーツ大会への協賛や、人気YouTuberとのコラボレシピの開発なども行っています」(高木さん)

 BIGBOSSこと新庄剛志さんがバラエティー番組で卵と水で薄めた“辛くない辛ラーメン”を紹介したり、ギャル曽根さんがアレンジレシピを紹介したりと、日本の芸能界にもファンは多い。

牛乳やチーズを加え、まろやかな「ロゼ辛ラーメン」は韓国で人気のアレンジのひとつ
牛乳やチーズを加え、まろやかな「ロゼ辛ラーメン」は韓国で人気のアレンジのひとつ

「そのまま食されるだけでなく、さまざまなアレンジもSNSなどで人気です。しっかり煮込んでもおいしく食べられる麺なので、韓国では鍋の具材に辛ラーメンを入れたり、付属のスープと牛乳、チーズ、コチュジャンなどで“ロゼ辛ラーメン”といった食べ方もされています。

 公式サイトやSNSの公式アカウントでもさまざまなレシピを紹介していますが、今年はさらにみなさんがワクワクするようなアレンジレシピを発信できればと考えています。安心・安全な食の提供はもちろん、辛ラーメンを通して、多様な食の楽しみをみなさんにお届けできればと思います」(鄭部長)

 “うまから”がクセになる辛ラーメン。今年もさらにホットな話題を集めそうだ。

(取材・文/吉信 武)