杉浦太陽インタビュー
4児の父であり、イクメンとして知られる杉浦太陽。『ベジタブルアンドフルーツアドバイザー』『きのこマイスター』などの資格を持ち、レシピ本を出すほどの料理の腕前だ。YouTubeでは、妻の辻希美さんと仲よくキッチンに立つ姿もよく見られる。料理に目覚めたきっかけや、家族に対する思いを語ってくれた。
ベスト10入りだなんて、とても光栄です! 今の僕にとって、料理はもはや日常。特にわが家は、ほとんど外食をしないんです。みんなで行くとしたら回転ずしくらいかな(笑)。家族が多いと、外食だけでも結構なお金がかかってしまいますよね。おうちごはんだと好きな時間にパパッと食べられるし、何より安上がり(笑)。
例えば焼き肉に行きたくなったら、スーパーで大きなブロック肉を買って子どもの好きな厚さに切って焼くなど、家でも楽しめるような工夫をしています。最近は「今日の夕食担当は妻」「明日は僕」ときっちり分けるのではなく、自然とふたりでキッチンに立つことが多いですね。
子どもが4人いると、毎日がバタバタ。妻も料理が好きなので、おもに妻がメインを作って、僕が副菜や汁物を作るといった具合に、効率的に役割分担をしています。妻が仕事のときは、僕が得意なパスタや魚料理などを作ることが多いかな。
今でこそたいていのものは作れますが、結婚当時は料理初心者でした。本格的に料理のおもしろさに目覚めたのは、NHKで約6年半にわたって放送された『キッチンが走る!』という番組。出演者は、僕とプロのシェフのふたりだけ。キッチンワゴンで日本各地を回り、地元の食材を生産者の方から分けていただき、ぶっつけ本番で料理をする番組です。台本もないので、シェフの方と一緒に試行錯誤しながらその都度メニューを考えていました。これがとても楽しかったんです。
料理を好きになるには、自分が楽しむことがいちばんだと思います。まずは自分が楽しんで、そのうえで家族にも喜んでもらえたら最高ですよね。僕は釣りが趣味なので、釣った魚を自分でさばき、子どもたちに食べさせることもしょっちゅう。いまでは刺身や焼き魚はもちろん、手開きにして丸干しもできるようになりました。
実は子どものお食い初めの鯛も、自分で釣って調理したんです(笑)。鯛の骨には、鯛の形をした「鯛の鯛」と呼ばれる部分があります。縁起物ともいわれているこの骨を、みんなで食べながら探したりするのも、楽しいんですよね。
料理が日常となってからもう10年以上たちますが、いまだに失敗もあります。以前は「桃のパスタ」に挑戦したんですが、これがまぁひどくて(笑)。オリーブオイルを入れすぎちゃったんですよね。子どもたちには「油の味しかしないよ~!」って大不評でした。
とはいえ、こんなふうに凝った料理に挑戦するのはたまのこと。毎日の食事は、簡単でおいしいのがいちばんです。僕が日々の料理で大切にしているのは、子どもたちにおいしく野菜を食べてもらうこと。定番は野菜のポタージュ。ハンドミキサーを使えばとても手軽です。にんじんやほうれん草はもちろん、大根など和の野菜でも、すり流し汁のようになっておいしいですよ。
忙しいときは、なんといっても豚汁! これは杉浦家のソウルフードです(笑)。里芋やこんにゃくなどいつもの具に、旬の野菜をプラスするだけ。豚汁は、発酵食品の味噌が入っていて、野菜がたっぷりとれる究極の発酵料理ですよね。料理は毎日のことだからこそ、頑張りすぎない! これからも自分なりに楽しんでいきたいです。
取材・文/植木淳子