ツイッター投稿をストップしたとも子さん

 しかしその思いは今回、最悪の形でメディアから再び注目されることになった。

 山梨県警の捜索で見つかった人の骨や遺留品の鑑定作業が進み、美咲ちゃんのDNA型と同一であることが確認された。しかも美咲ちゃんが10歳の誕生日を迎えた翌、5月14日に発表され、とも子さんに伝えられた。

 このタイミングは偶然か必然か。

 確かに「美咲は無事に戻ってくる」と信じ続けたとも子さんの思いは届かなかった。しかし、別の意味で、美咲ちゃんに通じていたのではないだろうか。

「ママ、今までありがとう。もう大丈夫だよ」

 天国にいる美咲ちゃんが、必死で捜し続けるとも子さんを思いやって、そんな心の声を発していたとしても不思議ではない。

 ツイッターへの投稿をぷつりとやめ、沈黙を続けるとも子さんははたして、次に会ったときに何を語るのだろうか。

水谷竹秀(みずたに・たけひで) ノンフィクション・ライター。1975年生まれ。上智大学外国語学部卒。2011年『日本を捨てた男たち』で第9回開高健ノンフィクション賞を受賞。10年超のフィリピン滞在歴をもとに、「アジアと日本人」について、また事件を含めた世相に関しても幅広く取材している