先輩のアドバイスを聞かない三平、修行より必要なことは

 落語家の三遊亭円楽が、1月8日放送『ナイツのちゃきちゃき大放送』(TBSラジオ)に出演したときのこと。三平が「笑点」から自主降板した話題になり、「なんかこういうライザップ……やってるって言うからね、身体鍛えるよりも芸鍛えろって(言った)」と三平に“指導”をしたことを明かした後で、「一応収録が終わると“あそこ、こうだよ”とか“ああいう時はこうしなきゃダメだよ”ってさんざん言ってきたの。ところがそれを消化できなかったし、私に言わせると人の言うことを聞かなった」と指摘されています。

 円楽の課題が難しかったのかもしれませんが、円楽ほどのキャリアがあれば「やってもできない」のか「やろうとすらしていない」のかの見分けはつくでしょう。せっかく先輩がアドバイスをしてくれたのにやろうとしないのなら、それはヤバいことですし、先輩に冷たくされても仕方がない。「できない」ことは必ずしも悪いことではありません。けれど、先輩には守ってもらいたいけれど、先輩の言うことは聞きたくないというのは、だめなタイプの「できない人」特有の思考と言えるでしょう。

 テレビなどで三平を見ていると、ちょっとプライドが高いというか、自分が思っている自分と周りからの評価が一致していないのかなと思うことがあります。妻である女優・国分佐智子との婚約報告会見の時のこと。国分は三平の第一印象をたずねられて「とても気さくで子どもっぽい方」と話しています。しかし、三平は国分に「俺がおまえを守ってやる、俺についてこい」と“頼りがいのある男”目線でプロポーズしたそうです。“度量の大きな男”に対する憧れ、もしくは自分がそういうタイプであるという自負が、三平からかわいげを奪ってしまっているのかもしれません。

 落語の世界は縦社会でしょうし、大喜利のような団体芸では自分がミスをしたとしても、周りに拾ってもらえば、何とかなるはず。人はヒイキをする生き物ですから、どこの世界でも、かわいがられている人はトクをすると思って間違いありません。芸の修行も大事でしょうが、三平の場合、プライドを捨てる勇気が必要なのかもしれません。

<プロフィール>
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」