彼らを高く評価するのはYOSHIKIだけではない。東京藝術大学出身の4人組King Gnuもその1人だ。ギターと曲作りを主に担当する常田大希も、彼らに楽曲を提供し、King GnuとSixTONES、双方のファンを驚かせたことも記憶に新しい。

 常田が手掛けた5枚目のシングル『マスカラ』は、複雑なリズムでピッチの移動が大きく技術が必要な楽曲。常田は自身のTwitterで、《愛すべき素敵な才能達にお力添え出来て光栄です。最初からハードル上げとくけど滅茶苦茶かっこいい出来栄えだからSixTONESファンの人は勿論、まだ彼らの事を知らない人達にもきっとブッ刺ささりマスカラ〜》と提供への思いを綴った。

SixTONES – マスカラ[YouTube Ver.]

ボイストレーナーが解説「表現力に驚き!」

 楽曲提供者もこぞって認める彼らの歌声について、ボイストレーナーでYouTubeチャンネル『さきここVoice』を運営するSAKIKO氏に、『わたし』における彼らの歌唱について聞いた。

「ジェシーさん(26)は、音の移動が本当にスムーズでとても心地良いです。発音や音質までコントロールする表現の自由度の高さ、選択肢の多さが本当に素晴らしい。

 京本大我さん(27)は、柔らかい音の取り方に息を混ぜた歌声はとてもセクシーな雰囲気があり異質な存在。語尾まで切ない歌い方にこだわりを感じずにはいられません」

 SixTONESを結成した2015年頃からメインボーカルをつとめてきたジェシーと京本大我。以前は2人の歌割りが多かったものの、他4人も実力をつけ、歌唱パートが増えていっている。続けて、SAKIKO氏は他のメンバーについて話す。

松村北斗さんの裏声の美しさに驚きました。出だしから心を持っていかれる歌声で、少しかすれた声がたまらなく切ない。高地優吾さん(28)は、いつもの明るい歌声とは違った別の表情を見せてくれました。曲に寄り添った切ない声と柔らかな音程変化がとても美しかった

 森本慎太郎(24)の甘い歌声や、田中樹(27)のラップはSixTONES楽曲に個性を生み出している。『わたし』ではどうだったのか。

「ファンの方が大好きな、森本慎太郎さんの甘いキャラメルボイスは今回封印。少ししゃべり声に近い”テンションの落した柔らかで切ない歌声”が曲にしっかりマッチしていました。

 また比較的柔らかい声が集まるSixTONESの中で、田中樹さんの少しエッジ感(地声のざらざらした成分)のある歌声は大事なスパイス。今回も楽曲をしっかりと締めてくれていました」

 SixTONESのグループ名には「6つの原石(ストーン)」「6つの音色(トーン)」の意味が込められている。6人の個性と表現力について、SAKIKO氏は次のように話した。

「ひとりひとり個性があり、声での表現方法が違います。それでも、共通の心を持っていると伝わってくる歌い方がとても素敵でした。特に”奪っていく”という歌詞が印象深いですね。それぞれの心が、一体どのように奪われていくのか。声というひとつの個性から、表情やシーンまでも想像させる表現力に感動しました」(SAKIKOさん)

 さまざまなジャンルの楽曲に挑戦し、実力派へと進化を続けるSixTONES。これまでのジャニーズとは違う輝き方を魅せる彼らの活躍から目が離せない。

PROFILE●SAKIKO(さきこ)ボーカルコーチ・ボイストレーナー。東京都を中心に活動し、自身のYouTubeチャンネル『さきここVoice』を運営する(登録者数23万人)。幼少期より英語や音楽に触れ、J-POPだけでなく、K-POPや洋楽の歌い方の指導も行う。『さきここVoice』→https://www.youtube.com/channel/UC0RJAtZGjcUfwskb_AKGw3Q/featured