「奥さん、子どもさんと一緒に住んでいらっしゃいましたよ」(マンションの住人)
容疑者は“穏やかな性格の人だった”というが……。冒頭の石橋理事長によると、オーバードーズの目的の多くは多幸感を得るためだという。
「風邪薬やせき止め薬などの市販薬の中にはカフェインや、麻薬などの効能に近い神経を興奮させる成分が微量に入っていて、大量に服用することでハイな気分になれる。だから、何かモヤモヤすることがあって、現実逃避をしたい人がハマりやすい。酒と一緒に飲むのは、より高い効果を得るためです」
医療関係者でも見分けがつかないのか
だが限度を超えて摂取すると、肝機能障害や呼吸不全、不整脈などを起こして命を落とす危険性もあるという。被害女性は前述したとおり、昏睡状態にあったが、
「医療関係者であるなら通常の眠りなのか、昏睡状態なのかの見分けがつかないわけがない。全身が痙攣していた可能性もあるんですから。同じ医療従事者として、斎藤容疑者は彼女が危険な状態と知りながら放置した可能性が高いと思っています」(石橋理事長)
気の弱い容疑者が事件のことを隠したいがためにホテルから逃げたのか……。その誤った判断が救えたかもしれない命を奪ってしまった。
答えてくれたのは…石橋彩里。日本歯科大学卒業後、同大学附属病院で研修医修了。同大大学院歯科麻酔学講座から東京西徳洲会病院麻酔科に出向。杏林大学医学部麻酔科専攻科で全身麻酔、医科麻酔を学ぶ。2018年、医療法人社団光陽会みずほ台サンクリニックの理事長に就任。 https://sunclinic.or.jp/