“推し”の政治家、候補者をどうやって見つければいいのか。和田さんのおすすめは、「自分が今、困っていることを書き出してみる」方法。
「私も、小川さんにインタビューする前に、A4の紙に自分が不安に思っていることをたくさん書き出しました。家賃が高い、税金が高い、年金が払えない等々、いろいろありますよね。ひとまずバーッと書き出してみて、それから選挙公報や、候補者のSNSなどを見て、自分が気になる問題をちゃんと解決してくれそうな候補をチェックする。時給が低くて暮らしていけないときに、最低賃金1500円の実現を訴えている候補がいたら、投票しますよね?」
選挙は「推し活」!楽しんで変えていく
“推し”を見つけたらSNSやホームページをチェック。そこから本人に直接、話しかけてみるのもよさそうだ。
「“推し活”なんですから! ツイッターなどで気になる候補に、“私こんな問題で困ってるんだけど、どう思います?”って話しかければ、返事が来るかもしれない。街頭宣伝でも話しかけちゃえばいいし、選挙事務所にボランティアに行ったら、候補者と仲よくなれて、政治のこと、もっと詳しくなれるかもしれない。
私も小川さんに“ド厚かましい”と言われたけど、私たちはもっと政治家に厚かましく、自分たちの要求を突きつけていいと思いますよ」
政治不信やあきらめから、「どうせ誰がやっても変わらない」と言う人は多い。それでも、たかが1票、されど1票。6月19日に行われた東京都杉並区長選挙では、新人の岸本聡子候補が現職候補をわずか187票差で破った。1票が大きな意味を持つことを証明する選挙だった。
「岸本さんの選挙では『一人街宣』といって、一般の市民が、区内沿線の駅前に立ち1人でマイクを握り、なぜこの候補を推すのか、どんな政策に期待しているのかをアピールしたんです。私も参加した日は、全部で6人の女性が思い思いに話していました。選挙の主役は私たち主権者なんだと実感し、選挙は、政治家は、私たち主権者がつくっていくものなんだと思いました。素晴らしい経験でした」
貧しさと未来の見えない不安に絶望して、常に死を意識していたという和田さんが自信を取り戻したのは、自分が「主権者」であるという手ごたえをつかんだからだ。
「結局は、自分たちのことは自分たちで解決しようと思うことから始まるんですよね。みんな、さまざまな問題に苦しんでいるけど、仕方ないとあきらめてしまっていて、それが積み重なって社会はどんどんひどくなっていく。問題を解決することをあきらめない。それが民主主義です。難しい話じゃない。なんかタマネギ高すぎるよね? おかしいよね? そこに気づいた時点でもう、私たちは民主主義に参加しているんですよ」
お話を聞いたのは…
和田靜香さん
相撲・音楽ライター。趣味の大相撲観戦やアルバイト迷走人生、政治など書くテーマは多岐にわたる。『時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか?国会議員に聞いてみた。』(左右社)ほか著書多数。