高橋さんが漫画家を目指したきっかけ
もちろん高橋さんの収入にはカードゲームだけでなく、漫画自体の印税、アニメなどメディアミックスによる収入、カード以外のグッズ収入など多岐にわたる。しかし、多くを占めたのはカードによるものだっただろう。
「カードゲームはその作者に印税の形で収入が入ります。販売枚数に対する印税です。実はこの印税率はそれほど高くなく、例えば漫画の単行本なら、作者に10%となりますが、カードゲームの場合は1%程度になります。
しかし、売り上げ枚数が膨大なので、その実入りはすさまじい。これは“カードゲームメーカーあるある”ですが、カードゲーム業界ではよく“お金を刷っているようなもの”と言われます。『遊戯王』カードはその最たるもの。
業界では“コナミは造幣局を持っている”などと言われていますし、一部のコナミ社員たち自身も社内の『遊戯王』担当チームを“造幣局”と呼んだりしています。『遊戯王』の売り上げはカードだけで、累計1兆円を超えている計算になりますからね」(前出・ゲーム会社社員)
高橋さんの資産は、数十億円とも数百億円ともいわれる。
お金を製造する“造幣局”とも評価されるゲームを作った高橋さんが、漫画家を志したきっかけ……。元々絵を描くのが好きだったが、いちばんの発端は教師によるあまりに心無い言葉だった。高橋さんは'02年発刊の『遊戯王』のコミックス28巻で以下のように語っていた。
《「高橋!お前は『喰って、ウ◯◯して、寝るだけのウ◯◯製造機』じゃあ!」教室内は爆笑の渦!ボクは笑いながらも拳を握りしめ——「殴ったろか!このタコ!」と思っていました。ウ◯◯製造機にマンガが描けるかい!!(怒)マンガ家になる決意をしたのであった——!!》(※編集部伏字)
中学時代こんな最低な言葉を投げられてから数十年。高橋さんはお金を製造するようなゲームを開発した。いや、それ以上に世の中にもたらしたのは『遊戯王』や『遊戯王』のカードゲームを楽しむ世界中のユーザーの笑顔だろう。