間口が広いようで狭い

長寿番組ですから、視聴者にとっての“『金スマ』らしさ”はすでにできあがっています。番組のコンセプトを“刷新します”と宣言したところで視聴者は簡単には受け入れられないし、何も言わずにスッと変えられても違和感が残るでしょう。リニューアルするのであれば、番組を終了して、中居さんをMCに据えた新番組を作るのが一番なんですが……長年積み上げた知名度があるので、簡単には踏み切れないでしょう

 テレビを持っていない若者が増えるなか、“若い視聴者を獲得する”と難題に挑んだが、方針がブレて、番組内容が中途半端になった。

「芸人さんや人気俳優の特集は、確かにそのタレントのファンにとっては興味を引かれる内容なのかもしれませんが、それ以外の視聴者への間口を狭めてしまう。また、毎回テーマがバラバラなので固定的なファンを獲得するのも難しい。誰にでも親和性のある共通項などがないので、間口が広いようで狭いんですね」(永見さん)

『金スマ』に慣れ親しんできた従来のファン離れも止まらない。

「軸が定まっていないため、『金スマ』が何をしたいのか視聴者に伝わらないという状況になってしまっています。金曜夜のテレビ番組に求められていたのは視聴後の安らぎや心の充足感。以前の『金スマ』には、リセットして週末を過ごせるような面白さがあったのですが……」(永見さん)

『金スマ』が本当に大事にするべきなのは、Z世代ではないのかも。

永見 薫(ながみ・かおる)                         2014年より地域情報誌にてライター活動を開始。以降インタビュー記事やコラムを中心に執筆。主な寄稿先は「東洋経済オンライン」「SUUMOジャーナル」「さんたつby散歩の達人」「ダ・ヴィンチWeb」「文春オンライン」など