閉経前後、多くの人に起きるのが更年期症状。症状は数百種類もあり、度合いも現れ方も人それぞれ。そんな中、“更年期フルコース”に打ち克ってきたのは有森也実。浅野ゆう子にすすめられ、48歳でフラメンコを始めたそうでーー。
更年期フルコースに打ち克つ
「もう女優をやめようかと思った」
テレビ番組でそんな衝撃の発言をするほどに、有森也実を追い詰めた更年期。閉経は50歳前後。48歳から54歳ごろまで続いた更年期は、“フルコース”と表現するほど症状が多かったという。
初めに有森を襲ったのは、のぼせや倦怠感、顔面の痙攣。40代後半のころだった。
「体温調節がうまくいかず、満員電車に乗ると、蒸れる感じが気持ち悪くなって我慢できなくてのぼせる。右顔面が痙攣する。リンパが腫れる。何が原因だかわからず、落ち込みました」
と番組内で語った有森。5歳ごろから始めたバレエにも行きたくないと感じるほど、その症状は深刻だった。
「大きな仕事が一段落し、介護していた母親と父親が相次いで亡くなったときだったので、充実感と喪失感と不安がぶつかり合って不調に」
と明かしていた。
「更年期障害は家庭や仕事のストレスをきっかけに発症することも多いので、有森さんの場合もまさにそんなタイミングだったのでしょう。当事者の性格によるところも大きいので、きっとまじめな方なのだと思います」(婦人科クリニック医師)
そんな更年期のさなかに、上映時間4時間超のR15指定映画『いぬむこいり』に主演し、女優魂を見せている。
「ハードな絡みがある過激な文芸作品です。更年期に苦しんでいたとは思えぬ体当たりの演技が素晴らしかった。監督との熱愛もスクープされましたが、映画好きの間では伝説的な1本になっています」(スポーツ紙芸能記者)
スクリーンで活躍する反面、ホットフラッシュ、動悸、めまい、頭痛、リンパの腫れ、顔面神経痛、気持ちの落ち込みなどの更年期フルコースに苦しんだ。また、女としての喪失感も彼女を襲った。
「きれいでないと価値がない。そういう仕事のしかたはもう嫌だとはっきり思えて、じゃあもう辞めてもいいかなと。女優でなくても違う生き方もあるんじゃないかなというふうに思えた時期だった」
と、振り返る。更年期は自然なことと受け止め、ホルモン療法などの投薬は選択しなかった有森だが“先輩”らのアドバイスは積極的に聞き、この時期を乗り切るため、浅野ゆう子にすすめられたフラメンコを48歳で始めたという。
「フラメンコは情熱的な踊りなので、ストレス発散になります。高齢でも始める人は多い」(フラメンコ経験者)
気分を上げるオードトワレやフラメンコ、そして「人に甘えること」で更年期を乗り切ったと語る有森。
「私が発信することで、これは更年期なのかもしれないっていう気づきが少しでも早くなって、自分との向き合い方、方向性が定まる手助けになればいいかなと思います」
かつてトレンディー女優として一世を風靡し、恋愛に対する肉食系の発言で注目を集めた有森だが、更年期を経て、女優として、人間として新たなステージに立ったようだ。