安倍元首相銃撃事件の現場。二発目の銃声が鳴る直前の女子高生の姿。その後、混乱に巻き込まれる(目撃者提供)
安倍元首相銃撃事件の現場。二発目の銃声が鳴る直前の女子高生の姿。その後、混乱に巻き込まれる(目撃者提供)
【写真】二発目の銃声が鳴る直前の女子高生の姿。この後、混乱に巻き込まれて…

「容疑者は安倍元首相の左斜め後ろから真後ろに移動して、車道を歩いてそのまま銃撃した。そもそも、安倍元首相の背後に近づかれている時点で“容疑者をなぜ制止していないのか”という疑問がありますが、それをさておいても安倍元首相の近くにSPがいれば一発目の銃声を聞いた直後にSPが安倍元首相に覆い被さるなどの対処ができたはず。それが全くできていないのは、SPの配置が遠すぎるからです」

 安倍元首相の近くにいたSPたちは何をしていたのか。右側にいた2人のSPは前方に注意を払っていたため、不審者の認識に遅れたのだろう。

「安倍元首相にタックルなどをして身を屈めさせつつ容疑者には防弾カバンを向けて銃弾から身を守るのがベストの対応。ですが、SPのひとりが安倍元首相の後ろに立って防弾カバンを構えることしかできなかった」

 安倍元首相の左斜め後ろにいたSPは飛び出して容疑者を取り押さえてはいるが、それは二発目の銃声がした後のことだ。

 現場の警備にあたっていた複数の警察官からは「一発目の銃声が聞こえて初めて不審者を認識した」という証言が出ているが、

警官と女子高生がぶつかって車に轢かれそうに…

「警官全員がパニック状態になっていたのでしょう。警官のひとりは二発目の銃声を聞いてようやくことの重大さに気づき安倍元首相のもとに駆け寄ろうとして、女子高生とぶつかってしまいます。それによって彼女は道路に飛び出して、あわや車に轢かれそうに……。女子高生は軽症で済んだようですが、一歩間違えば大変な事故になっていた」

 中島氏はこう続ける。

「警護・警備のレベルが低すぎる。厳しく言いますが、これでは民間の警備会社に任せた方がマシです」

 7月11日の記者会見で、松野博一官房長官は安倍元首相銃撃事件に関して、

「全国警察を指導する立場にある警察庁の関与の在り方も含め、今回の警護・警備には問題があったと認識しているという報告を受けている」
 
 と述べた。
 
 杜撰な警備が原因で命が奪われたのであるならば、取り返しがつかない。