今年も長い夏休みがスタートしました。子どもたちにとってはとてもうれしく、保護者にとってはこの期間をどう過ごそうかと思われているのではないでしょうか。
そんな夏休みの定番である「自由研究」を活用して、子どもの成長につなげるポジティブな夏休みにしてみませんか。
自由研究をどう活用するか
自由研究をワクワクして取り組む子、それとも何をやればよいか分からず手を付けられない子もいるのでは? “宿題だから取り組む、ではなく、日ごろから子どもの興味関心に親が気づいているかが自由研究を活用し“非認知能力をより高める絶好の機会”につなげていけます(※非認知能力とは、自己肯定感や思考力、コミュニケーション力ややり遂げる力など、人間力と称される資質のことで、点数や数値化では測れない力です)。
夏休みの自由研究は自分で計画して試行錯誤し、最後に作品や研究としてまとめる、といったゴールがあります。美しくできたことや作品の完成度合いではなく、どんなものであれ子どもたちが自力でやり遂げたことに対して、一番信頼している親が最大限褒めることがとても大切で、それが「私(僕)はできるんだ!」という自己肯定感につながります。
算数が苦手な子に算数のドリルをたくさんやらせるのではなく、算数の楽しさを伝えられればいいわけで、解けた時の達成感を親子で共有したり、解けるまでの考え方の道筋を話したり、例えを用いてヒントになる導きをすれば、思考の階段を1つ上がっていくことになります。
もし正面から突破できなければ、親が導いて入口や入り方を変えてみる。自由研究を1つのツールとして、自由に規定のない中で子どもの発想や興味関心を知ることができる機会が非認知能力向上へとつながります。
学習院大学文学部教育学科の飯沼慶一教授は、子供の自由研究について以下のように言います。
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本来の自由研究は「自由に関心のあるテーマを設定し、問題を具体化し、結果を見通して調査・分析をしたことから自分なりの答えを導き出し、まとめ表現する活動」です。
しかしながら、昨年の私のゼミ生の卒業論文では、現在の自由研究の37%は工作であることや「調べて知る活動」で終わってしまっていること、また「テーマを決めたり研究を計画する」といった取り組む前段階のところと、「文章や図表の書き方や内容のまとめ方」というまとめるところで悩む子どもたちが多いことがわかりました。
以上から、本来の自由研究にしていくための親の支援のポイントが見えてきます。
まずは、親子で「調べてみる」活動から始め、調べたことを踏まえて「目的」をはっきりさせて課題を設定することが大切です。「目的」に向かう「わくわく感」が「児童の主体性」につながり、問題解決の学びになります。そして、研究を進めていく中での文章の書き方やまとめ方という子どもたちが苦手としているところを中心にコミュニケーションを取りながら支援をしていくことも大切です。
夏休みの宿題であることが多い「自由研究」ですが、戦後の数年間は小中学校の教育課程の中に教科として設定されていました。現在では「総合的な学習の時間」に引き継がれており、今後の変化する社会を生き抜いていく資質能力を育成することにもなると考えられています。