YouTubeを始めたきっかけは「億単位のカネ」
2019年2月には、「YouTubeでは億単位で儲けているやつがいる」という話を聞き、HTB非公認のYouTubeチャンネル『藤やんうれしーの水曜どうでそうTV』を開設。登録者数42万人の人気チャンネルで、ゲストとして堀江貴文さんや西村博之さんも出演した。『水曜どうでしょう』の本編では言葉少なな嬉野さんのトークも軽快で、新たな「うれしー」ファンも増えたという。
「ネットに視聴者を取られるってYouTubeを敵対視するテレビマンもいるって聞くけど、僕らは単純にやってみたいっていう興味があったからやっただけの話でね。億単位の金が僕らには入ってこないということもわかったんですけどね(笑)」(嬉野さん)
周囲はこの2人をどう見ているのだろうか。10数年前からのどうでしょうファンで、2人にYouTubeチャンネルの開設を持ちかけ、現在はチャンネル運営メンバーである玉木青さんは、
「あれだけ性格が違う2人が、ずっと一緒にいること自体がすごいと思います。というより、あれだけ一緒にいて、あれだけ性格が違ったままでいるということが逆にすごいのかな……。ただ、どこに行って、どういう景色を見たいのかという最後のところが、とても合うんだと思います」
と話す。嬉野さんが2019年に開設したオリジナルコーヒー通販&コミュニティーサイト『嬉野珈琲店』の運営を行うスタッフは、嬉野さんのこんなエピソードを語ってくれた。
「私たちが大阪にいたときに、東京から会いに来てくれる方がその日に帰らなくちゃいけなくて。嬉野さん、お店までの行きしなに最寄り駅からの時間をストップウオッチで計っていたんです。もちろん優しさなんでしょうけど、気になってそうせずにはいられないんだと思うんです」
「藤村さんって自分のことしか考えていないように見えて、ずっと人のことだけ考えているような人なんですけど、嬉野さんは自分以外の全員のことをずっと考えているように見えて、実は自分のことしか考えていない人なんです。
それが周囲から見て、とっても好ましいんですよ」(玉木青さん)
そんな2人に、最後にこれからについての思いを語ってもらった。
「嬉野さんも鈴井さんも還暦超えたし、俺だってもうすぐ還暦を超えてね。それで自分たちでカメラを持って30年を超えていくとなると、これはもう未知の領域なんですよ。だらーっとするのかなぁとも思うし、年をとると短気になる人もわりといるからね。どうなるんだろうね。“いつまでも大泉さんはお若いですなぁ” “相変わらず面白いですねぇ”なんて言い出すのか。楽しみだし、興味深いんですよ」(藤村さん)
「僕らが高齢化してね、どうやって爆笑できるものを作れるのか。僕らは互いに信頼はあると思うけど、緊張感もあるんですよ。予定調和にしたくないというのはみんなの矜持でしょうからね。大泉くんも本気でやろうと思えなかったら乗れないと思うし。だから楽しみなんです。
この人(藤村さん)はね、これから映画を撮ってカンヌかアカデミー賞を取ろうと本気で言っているんですよ。この肩書があれば、サラリーマンについてまわる、経費精算だの申請だのっていろいろある面倒な手続きがさすがに減って、仕事がしやすくなるだろっていうわけですよ。
今や人気の役者となった大泉さんとのパワーバランスも取れるしね。僕はこの人の隣にずっといてここまで来ましたからね。じゃあ一緒に撮ろうというだけのことですよ」(嬉野さん)
〈取材・文/嶺 竜一〉