皇室制度に詳しい『静岡福祉大学』の小田部雄次名誉教授は、皇室と芸術のつながりについて、こう解説する。
「古来、天皇家は日本の文化や芸術の継承者としての役割を果たしてきました。皇族や公家でも、書や和歌、学問に関わる家業を担い、今日までその流れが続いています。
年始に『歌会始(うたかいはじめ)の儀』や『講書始(こうしょはじめ)の儀』が行われるのは、天皇にそうした素養が求められているとともに、日本国家を代表する文化として位置づけられているからです」
これまでずっと男女共学
若い創造力が結集された『総文』に悠仁さまが臨まれることは、大きな意味を持つ。宮内庁OBで皇室ジャーナリストの山下晋司さんが言う。
「皇室の在り方は、国民の考え方に合わせて自然と移り変わります。“国民”といっても、赤ん坊からお年寄りまでさまざまですが、いずれ即位される悠仁親王殿下にとっては、同じ時代をより長く生きる同年代の考え方が最も影響を及ぼすでしょう。同年代の価値観に触れ、交流を図る経験は非常に大切なのです」
天皇陛下(当時皇太子)は'99年の誕生日会見で次のように述べられている。
「同世代の方々との交流も非常に大切にしていきたいと思っています。(中略)私と同世代の方々がいったい皇室に対してどのようなことを考えておられるか、どのようなことを期待しておられるか、そのようなことが少しでもわかればと思っています」――
前出の山下さんは続ける。
「上皇・上皇后両陛下は、3人のお子さま方がまだ幼いころから、沖縄や北海道と本土をつなぐ『豆記者』やボーイスカウトなど、小中学生との交流の機会を頻繁に設けておられました。そうした姿勢が、悠仁親王殿下にも脈々と受け継がれていると感じます」
高校生として初の夏休みを満喫し、着々と“天皇への道”を歩まれている悠仁さま。
「これまでの皇位継承者と異なるのが、幼稚園から今に至るまで一貫して男女共学に通われている点。上皇さまや天皇陛下、父の秋篠宮さまは男子高である『学習院高等科』で青春時代を過ごされました。
皇室に限らず、男子校・女子校出身者は、異性との交流に慣れていないケースも少なくありません。その点、男女分け隔てなく交流されてきた悠仁さまのコミュニケーション能力には、大いに期待できるのです」(宮内庁OB)