第9位:『火垂るの墓』(1988年公開)/78票
<ストーリー>太平洋戦争末期、少年・清太と妹の節子は神戸大空襲で親も、住む家も失ってしまう。引き取り先の叔母との関係が険悪になった清太は、叔母の家を出て兄妹で独立して生き抜こうとするも、悪化する戦況のなかで2人は徐々に飢えに苦しみ始める……。
<スタッフ>監督/高畑勲 声の出演/清太:辰巳努 節子:白石綾乃 清太・節子の母:志乃原良子 親戚の叔母さん:山口朱美 ほか
第8位までを宮崎駿監督作品が占めたが、第9位には高畑勲が監督を務めた『火垂るの墓』がランクインした。戦時下で行き場を失った兄妹の姿を描く本作は、'88年に『となりのトトロ』と2本立てで公開。アンケートでは戦争について考え、また涙がこぼれるとの声が寄せられた。
「兄弟愛」(60代・男性)
「何回見ても泣ける。戦争を忘れてはいけない」(60代・女性)
「哀しい物語なのに美しかった。涙が溢れた」(70代・女性)
「日本が始めた戦争で悲惨な最期を、無垢の子供たちまでもが犠牲になっている事実に涙滂沱」(80代・女性)
第10位:『紅の豚』(1992年公開)/66票
<ストーリー>1920年代末のアドリア海。一匹の豚、ポルコ・ロッソ(紅の豚)は飛行艇を乗り回す空賊の退治を請け負う賞金稼ぎとして暮らしていた。もともとイタリア空軍のエース・パイロットだった彼は、自らに魔法をかけて豚の姿になったのだった……。
<スタッフ>監督/宮崎駿 声の出演/ポルコ・ロッソ:森山周一郎 マダム・ジーナ:加藤登紀子 ピッコロおやじ:桂三枝 マンマユート・ボス:上條恒彦 ほか
映画のキャッチコピーは「カッコイイとは、こういうことさ」。スタジオジブリ作品の中でも異色の存在とも言える、“男のロマン”を描いた'92年公開作品『紅の豚』が第10位に入った。
本作を支持する声は、他の作品と比べるとやはり男性から多く集まった。
「男のロマンを感じる」(40代・男性)
「飛行機野郎の男気が懐かしくて良い」(70代・男性)
「飛べない豚はただの豚だから」(20代・男性)
「空中でのシーンは迫力があり、爽快で一緒にポルコと飛んでいる気になれる」(40代・女性)
TOP10に入った作品の公開年は、80年代が5作、90年代が2作、2000年代が3作という結果に。11位~20位は90年代が3作、2000年代が1作、2010年以降が6作だった。
監督別にみると、TOP10は宮崎駿作品が9作、高畑勲作品が1作。11位~20位は宮崎駿作品が2作、高畑勲作品が3作、米林宏昌作品と宮崎吾朗作品が2作、森田宏幸作品が1作だった。
このように、今回のアンケートでは宮崎駿による80年代~90年代初期の作品が多くの支持を集め、これに同じく宮崎駿の2000年前後の作品が続く形となった。宮崎駿は'13年公開の『風立ちぬ』以来、長編映画から離れているが、'17年には、新作映画『君たちはどう生きるか』にて制作に復帰したとのアナウンスがあった。その動向が気になるところだ。
あらゆる世代から今も人気のジブリ作品。見る人によって受け取り方が違うのも魅力のひとつと言えるだろう。11月1日には「愛・地球博記念公園(モリコロパーク)」内に『ジブリパーク』が開園予定で、今年もジブリから目が離せなくなりそうだ。
11位以下の得票結果
第11位:『風立ちぬ』(2013年公開)/54票
監督/宮崎駿 声の出演/庵野秀明
第12位:『耳をすませば』(1995年公開)/48票
監督/宮崎駿 声の出演/本名陽子
第13位:『猫の恩返し』(2002年公開)/39票
監督/森田宏幸 声の出演/池脇千鶴
第14位:『借りぐらしのアリエッティ』(2010年公開)/26票
監督/米林宏昌 声の出演/志田未来
第14位:『かぐや姫の物語』(2013年公開)/26票
監督/高畑勲 声の出演/朝倉あき
第16位:『平成狸合戦ぽんぽこ』(1994年公開)/24票
監督/高畑勲 声の出演/古今亭志ん朝
第17位:『思い出のマーニー』(2014年公開)/21票
監督/米林宏昌 声の出演/高月彩良、有村架純
第18位:『アーヤと魔女』(2021年公開)/20票
監督/宮崎吾朗 声の出演/寺島しのぶ
第19位:『コクリコ坂から』(2011年公開)/19票
監督/宮崎吾朗 声の出演/長澤まさみ
第20位:『おもひでぽろぽろ』(1991年公開)/15票
監督/高畑勲 声の出演/今井美樹
実施期間:2022/8/17〜2022/8/18
調査方法:WEBアンケート調査
調査対象:15歳以上の男女から80・90代男女まで
(男性978人、女性1022人、計2000人)
『週刊女性PRIME』調べ、セルフアンケートツール『QiQUMO』を使用。
実施機関:クロス・マーケティング(https://www.
(文/千歳康一)