世界で広がる「告発」
“暴露系”の人気は、実は日本に限った話ではない。外国でもSNSを通じた“告発”が相次ぎ、世間を騒がせているという。
「他国でも同じような事情があって、“上級国民”に声をあげられなかった人々が、SNSを使って告発することが増えていると思います。同時に、日本人がアジア圏でやらかしたネタも、僕のところに送られてきます。
女性への性被害や現地警察がらみの収賄といった話が多いです。日本人は他国に迷惑をかけるのが大嫌いですので、こうした外国のネタは多くの人に読まれる可能性があると思っています」
普段は大手企業のサラリーマン
「かつて僕に開示請求をした人に、いわゆる反社とつながっている疑惑がある人物がいました。他のところでも僕はきっと相当な恨みを買っていると思います。いつかさらわれたり刺されたりしてもおかしくないとは思います」
SNS等で注目を集め、インフルエンサーとして有名になってくると、周囲からは「どうせ金目当てなんだろう」という視線も向けられがちだ。だが滝沢氏からは、「お金目当て」という雰囲気はあまり感じられない。
“暴露系”ゆえ、大企業からの広告案件はほぼゼロ。SNSを通じた収入はほとんどないという。さらに、普段は大手企業のサラリーマンとして働き、十分な収入はある。なのに、なぜそこまでして“暴露系”にこだわるのだろうか。
「会社では一生懸命やったところで、給料の少額アップと引き換えに責任や業務量がどかんと増すだけなので、基本的に省エネで生きています。典型的なサボリーマン、窓際族です。ほとんどの同僚からできないやつと思われていると思いますし、自分もその方が楽だと思っています。
とはいえ、そうやっていても辛いんですよね。自分でその生き方を選んでおきながら、本来の自分の能力以下に見られていると、やっぱりストレスがたまるんです。
その分、Twitterの投稿を多くの人に読んでもらい、“助かった”“いつもありがとう”なんて褒められると嬉しくて。単純ですが。別に暴露系というジャンルにこだわってはいないですが、これからも読者の人に求められる動きを続けていきたいです」
そんな滝沢氏に今後の目標を聞くと、
「いまは特に目標もありません。かつてはフォロワー数を増やすという目標もあったのですが、50万人を超えると、あまり気にしなくなりました。強いて言えば、殺されないことが目標です(笑)」
SNSを通じた暴露は、情報の信ぴょう性やプライバシーの侵害など多くの問題もはらむ。その一方で、人々は“上級国民”をはじめとする社会の支配者に対して、持って行き場のない怒りや悔しさを、こうしたインフルエンサーに託している。その力が、社会を大きく変える原動力になる日がくるのかもしれない。
【取材・文/泰梨沙子(はた・りさこ)フリージャーナリスト。テレビ局で海外ニュース翻訳、共同通信系NNAにてタイ駐在を経て独立。】