酒場で歌う人は“十八番”を持っている
一方、酒場の客層はというと、40代以上が約8割を占める。だが、
「昨今は、カラオケボックスと酒場のランキングの上位を占める曲が似通ってきている。中島みゆきさんの『糸』のような往年の名曲もあれば、あいみょんさんの『マリーゴールド』のような最近のヒット曲もある」
とは、前出の片岡さん。
そのうえで、'21年度の酒場トップ10に、『最後の雨』(中西保志)、『シングルベッド』(シャ乱Q)が残っているのも酒場ならでは。
「酒場で歌う人って、自分の十八番や持ち歌を持っている人が多い(笑)。でも、それがカラオケボックスとは違う酒場の面白さ」(ほいさん)
「カラオケボックスで歌われる曲は流行り廃りが激しいため、上位にあった曲が翌年には下位に沈んでいることもよくあります。しかし、酒場にはずっと愛されるロングランの曲がある」(片岡さん)
酒場の雰囲気は、無形文化財ともいうべき、その土地ならではの生活感がある。酒場ランキングの変遷もまた、カラオケボックスとは異なる発見をもたらしてくれる。
ほいさんは、「いつの時代も幅広い年代層が楽しめるからカラオケは廃れない」とカラオケ愛を惜しみなく語る。
「アニメソング、CMソング、メドレー……本当に多種多様な楽しみ方ができますよね。最近はAIによる採点機能も実装され、ものまねをしていることを機器が判別することもできるくらい。進化し続けているのも、カラオケのすごいところ。コロナ禍で、カラオケボックスは大きなダメージを受けた。ですから、カラオケボックスに還元するため、頻繁に出かけるようにしています」(ほいさん)
片岡さんが話す。
「コロナによる影響で、カラオケ業界の年間売り上げは、'20年度は前年度より50%ダウン、'21年度は20%ダウンしました。しかし、今年は4月以降、上昇傾向にあり、客足が戻ってきている。それだけ娯楽として定着しているということ。心の健康のためにも多くの方に楽しんでいただきたいです」
コロナ禍を経て、いろいろなものが変わった。だが、カラオケ人気は変わらない。
ほい・けんた 1965年東京都生まれ。1983年役者デビュー。1988年お笑い活動を開始。明石家さんまをはじめ、多数のものまねレパートリーを持ち、テレビ、舞台などで活躍中。
全国カラオケ事業者協会では、昨年に引き続き10月17日から、医療従事者応援ソング『感謝の手紙』をカラオケで歌われた回数とYouTubeの再生回数に応じた金額を「カラオケ文化の日」基金として医療従事者支援に役立てるチャリティープロジェクトを実施。