紀子さまに10年にわたって手話を教えた、日本ろう者劇団・顧問の井崎哲也さんは、今回の佳子さまの挨拶をこう見る。
「佳子さまの手話には品がありますし、ひとつひとつの表現がはっきりしていて、指先までしっかりと伸びていらっしゃる。とてもきれいな手話です。また、話し言葉でいうところの“噛む”こともなく長時間、手話でお話しされるようになっていたことには正直、驚きました」
秋篠宮家が手話への理解を深めてくれた
井崎さんが、佳子さまと初めてお会いになったのは '15年。国立能楽堂での手話狂言だったと振り返る。
「当時は通訳がつく形でしたが、佳子さまはちゃんとろう者の目を見て話すということができていらっしゃいました。とても大切なことです。4年後にお会いしたときには、通訳なしでもお話しできるようになられていました。とても努力されたんだと思います。また、佳子さまが私とお話しする際には日本語対応手話ではなく、日本手話を使われます」(井崎さん、以下同)
紀子さまから佳子さまへ受け継がれているものは、手話の技術だけではない。
「ろう者のコミュニケーションを自然に理解していただいている感じがします。きっとご家族で、手話やろう者についてお話しされているのではないでしょうか」
現在70歳の井崎さんが若かりしころの世の中は、手話への理解がなかったという。
「食堂などでろう者同士が手話をしていると、からかわれたり、“見苦しい”と言われたり……。表立って手話ができず、悔しい思いをたくさんしました。でも、今ではそんな偏見の目で見る人がまったくいなくなりました。時代が本当に変わったなと感じます。ドラマなどの影響に加え、秋篠宮家のみなさまが積極的に手話に関わり続けてくださっているからだと、私は思っています」
撮影/JMPA