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ー “政権末期”支持率での人事の思惑

 内閣支持率の低下を全く気にしていないようだーー。

 岸田文雄首相の長男で、議員事務所の公設秘書を務める翔太郎氏が首相秘書官に任命することがわかった。

「翔太郎氏が職に就くのは政務担当首相秘書官で、俗に“首席秘書官”と呼ばれる、最も首相に近い人物にあたります。広報の役割も果たすこともあるため、優秀なのは当然ですが、首相からの厚い信頼がなければ務まりません。身内はうってつけということ」

 とは全国紙・政治部記者。「信頼」という意味では、理にかなった“人事”に思えるが、大手商社勤務を経て公設秘書になった経歴を持つ翔太郎氏は31歳と若く、現在同職に就く元官僚の嶋田隆氏の経歴、実績には遠く及ばない。かなり思い切った人事にも映るが、首相は長男に同等の能力があると判断したのだろう。

 しかし、当然というべきか、彼らの“給料”を払っている国民はそうは見ていないようだ。この人事にネット上では早くも、

《岸田さんって聞く力どころか空気読む能力もない?》
《民間は就職も大変なのに息子を特別扱い 選挙が無いとやりたい放題なんだな》
内閣支持率がまだまだ下がる状況で、息子を首相秘書官にするかなぁ。世襲するPRするのもダメだし、タイミングも最悪。センスがなさすぎる。》

 猛烈なダメ出しを受けている。

“政権末期”支持率での人事の思惑

 安倍晋三元首相襲撃事件から始まった、自民党内の統一教会問題からのらりくらりと逃げ続け、先の国葬実施の是非をめぐって国民を二分させてしまった岸田首相。

 各報道機関が実施した近々の世論調査によると、内閣支持率は軒並み40%台前半で、不支持の方が上回っている現状がある。9月19日の毎日新聞の調査に至っては支持が29%と、“政権末期”の危険水域とされる3割を下回る数字も。

 自民党をはじめとする政界の内情を取材してきた政治ジャーナリストによると、

「11月にも住民税非課税世帯への臨時特別給付金が開始されますが、主な票田である高齢者へのバラマキ政策であることは明らか。それでも5万円程度では支持率回復も微々たる程度でしょう。すでに党内では“岸田はもうもたない”との声も聞こえてきます。

 ただ、そこは“聞く力”を備えている首相。ならばと政権を維持できるうちに、“4代目”と期待される翔太郎氏の育成に舵を切ったのかもしれない。実に世襲議員らしい人事ですね」

 岸田首相自身も、衆議院議員を務めた祖父・正記氏、そして父・文武氏から地盤を受け継いだ3世議員だ。宮沢喜一元首相も親戚にあたるだけに、まさに政治家に、内閣総理大臣になるべくしてなった人物と言えよう。

「岸田首相には3人の息子がいますが、特に期待を寄せているのが翔太郎氏で、昨年から親子で首相公邸に移り住んでいます。常に自分の周囲に息子を置くことで、首相の“帝王学”を学ばせ、さらには人脈作りをさせる思惑もあるのでしょう。

 つまりは自分は倒れても、岸田家の後継者を、未来の内閣総理大臣を育てたいがための人事なのかもしれません。もう支持率や選挙もなんのその、なりふり構っていられない状況にあるのではないでしょうか」(前出・ジャーナリスト)

 その人事、国民が納得するだろうか。