それこそ、芦田の場合、年齢詐称説まで飛び出したほど。「本当は60歳?」というネタが本人出演のCMでも使われた。座右の銘も、昭和の偉人である王貞治(82)の言葉。野球少年で、令和のヒーロー・大谷翔平(28)に憧れる鈴木とはやっぱり対照的だ。
なので彼は、自分で成長をアピールしなくてはいけない。3年前には『ガキの使い!大晦日年越しSP』(日本テレビ系)の「本音を叫ぶ」企画に登場。「楽屋のお菓子が甘すぎる。味ごのみとか置け」と要求して、こう主張していた。
「俺、もう15歳だぞー、福くんじゃなくて、福さんだぞー」
とはいえ、多くの人にとって彼はまだまだ「福くん」だろう。いや、子役出身の芸能人という存在自体、そういうものなのかもしれない。
最近は神木隆之介(29)や福原遥(24)のように、カッコよくキレイにオトナ化する人も増えたが、それでも子役時代のイメージは消えない。真逆の方向に行ってしまったかのような坂上忍(55)だってそうだ。とんでもない大物になった美空ひばり(享年52)にしても、同世代以上からは「ひばりちゃん」のまま愛され続けた。
もちろん、当人は子役のイメージを脱却したくて葛藤するし、その姿が興味をそそったりもする。ただ、あまり変わらないでいてくれるのも、どこか安心させるのである。
ある時期までのえなりかずき(37)がそうだが、泉ピン子(75)との不仲騒動でこじらせぶりが見えてしまった。鈴木には、そういうことのない芸能人生を期待してしまう。そのほうがこの世界で長生きできるのではないか。
もっとも、それはみんなに「福くん」と呼ばれ続ける人生なのだけど。ファンにも、本人にも「福」をもたらす気がするのだ。
宝泉薫(ほうせん・かおる)●アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。