3月14日、『日本アカデミー賞』授賞式に出席した大沢たかお。2024年公開の映画『キングダム 大将軍の帰還』での演技が最優秀助演男優賞を受賞して、こう語った。
「助演という立場というのは、主演をどう盛り上げるのかということを、7年間考え続けていました」
「大沢くん、ダメだった。ごめんね」
漫画原作の映画『キングダム』は2019年に1作目が公開され、同作品はシリーズ4作目となる。
「大沢さんは1作目から約7年間にわたって秦国の大将軍・王騎を演じたのですが、漫画で描かれる巨漢の役づくりで、肉体改造のほか、体重を20キロほど増量しました。撮影後は減量し、続編の撮影時には再び増量するなど、かなりの苦労があったようです」(映画ライター、以下同)
近年の大沢は、漫画『沈黙の艦隊』を映像化した作品では、主演だけでなくプロデューサーも務めるなど多方面で活躍。
「『沈黙の艦隊』には、大沢さんのほかに『キングダム』のプロデューサーでもある松橋真三さんも参加しています。松橋さんは2005年にWOWOWを退職して独立する際、大沢さんに応援してもらってから、ずっと一緒に仕事がしたいと思っていたそう。大沢さんも今、俳優として自分がやりたいことができているのでは」
ただ、ここに至る道のりは平たんではなかった。

大沢は1987年にモデルとしてスカウトされて芸能界入り。世界に通用するモデルを目指し、『パリコレ』に出演した経験もある。だが、当時の大沢を知るファッション業界関係者は、こう明かす。
「大沢くんは、モデルの中では身長が低いんです。トップモデルなら最低でも185センチはほしいところだけど、彼は181センチ。だから、オーディションを受けては落ち続けていたんです。私も“大沢くん、ダメだった。ごめんね”と、何度か落選を伝えたことがありました」
世界で活躍するトップモデルとの間にある“壁”は想像以上に厚く、挫折を味わう。モデルの道を諦めた大沢は、一般企業への就職も考えたが、モデル時代のマネージャーにすすめられて俳優へ転身。
当時のことを、テレビ誌ライターが話す。
「1994年のフジテレビ系ドラマ『君がいた夏』で、大沢さんは俳優として活動をスタートさせました。1995年に放送された、酒井法子さん主演の日本テレビ系ドラマ『星の金貨』でブレイク。翌年には平均視聴率が20%を超えた『続・星の金貨』にも出演。そこから俳優としての頭角を現していくかと思われました」
しかし、より高みを目指そうとする情熱が足かせとなる。過去の雑誌インタビューで、大沢は俳優という仕事への思いをこう語っていた。
《ドラマの現場へ行くと自分が間違ったと思ってもOKが出て、次々と撮影が進んでしまうことがあった。そういったことが続くと、切磋琢磨もせず成長していない自分に苛立ち、何でこの仕事をやっているか分からなくなってきたんです》
その不安を払拭するため、ある行動に出た。
「ドラマの撮影現場で“もっといい作品にしたい”という思いから、演技などについて意見するようにしたのですが、そのことでスタッフとの衝突が増えていったのです。だから、連ドラの仕事から距離を置いたとも、大沢さんは過去のインタビューで語っています」(前出・テレビ誌ライター、以下同)