時代の流れは、勝負に徹してきた歴戦のフードファイターからすれば葛藤を生む。だからこそ、王者・女王と謳われた両氏には、大食いを通じて叶えたいことがあるという。
「大食いを愛している人ほど食を大切にする意識が強いです。私自身、フードロスにならないように、自炊する際は食材をまるまる使えるレシピを考案し、発信しています。
食のおかげで今の私があるので、食を通じて社会に恩返しができたらと思っています。そうした活動が伝われば、勝負のときのアンジェラ佐藤は別モードだとわかっていただけるのではないかと」(アンジェラさん)
「僕は大食いによって人生が開けたので、日本のフードファイトに対する見方を変えたい。
アメリカは完全にスポーツとして確立していて、7月4日の独立記念日にニューヨークで行われる『ネイサンズ国際ホットドッグ早食い選手権』は、FOXをはじめとしたテレビ局が生中継をするほど。大食いがスポーツであるという文化を築きたい」(MAXさん)
お笑いには、世代を超えて共演する、あるいは競い合うといったことが珍しくない。大食いも第一から第七世代までいるのだから、夢のオールスター戦が見てみたいと思うのだが──。
「望むところですよ。魔女菅原さんとよくLINEをするのですが、必ず最後の一文は『まだまだ若い子には負けないわよ』ってお互い書きますから(笑)」(アンジェラさん)
「夢があることをしたいですね。テレビ局さんはもちろん、AmazonさんやNetflixさん、いろいろな可能性がある」(MAXさん)
30年以上も連綿と続く大食いの歴史。続くのには理由がある。
【大食いフードファイター】
第一世代/赤阪尊子(女王赤阪)、岸義行(皇帝岸)、新井和響(超特急新井)
第二世代/白田信幸(ジャイアント白田)、小林尊(プリンス)
第三世代/曽根菜津子(ギャル曽根)、菅原初代(魔女菅原)、山本卓弥(キング山本)
第四世代/佐藤綾里(アンジェラ佐藤)、佐藤ひとみ(ロシアン佐藤)、三宅智子(エステ三宅)
第五世代/鈴木隆将(MAX鈴木)、もえのあずき(もえあず)、檜山普嗣(檜山先生)
第六世代/小野かこ&あこ(はらぺこツインズ)、海老原まよい(えびまよ)、新井義人(ラスカル新井)
第七世代/篠原健太(しのけん)、ありのまんま
(取材・文/我妻弘崇)