複数の訴訟を起こされているシーイン

 アパレル商品は通常、商品企画を立て、デザイナーがデザイン画を作り、さらにそれをもとにパタンナーが型紙に起こし、そしてサンプル作成に入る。サンプルが修正なしで製品化することはまれで必ずといっていいほど修正が入る。時に複数回の修正が入り、ようやく製品化、店頭に並ぶ。ユニクロは商品企画自体を半年前~1年前くらいから時間をかけて仕込むという。

「3日ほどという商品の投入スピードの早さも、そう“いわれている”話になるので定かではありません。3日が本当だとしたら通常のアパレルではありえない早さ。著作権侵害で訴えられている商品もあるので、すべてが“オリジナル”な商品ではなく、他社の商品をバラし、それを模倣する形で投入している商品もあるでしょう」

 訴訟問題は“らしい”ではなく、知的財産権を侵害しているとしてアーティストやブランドから複数の訴訟を起こされている事実である。

 ちなみにシーインの“安さ”の理由は、もう1つある。イギリスの『チャンネル4』と『The i newspaper』がシーインへ潜入調査を行い、結果を報じている。以下に抜粋する。

《販売される服を作っている労働者は、1着につきわずか4セント(約6円)しか得ていない》

《月4000元(約556ドル:約8万2,000円)の基本給をもらっている従業員は、1日少なくとも500着を作るが、初月の給料は保留にされた》

《1つのミスをすると日給の3分の2の罰金が科せられる》

「安い」には、“背景”がある。それをどういう考えで選ぶかは、消費者自身である。

 ここ数年、外資系の低価格ブランドは日本撤退や事業規模の縮小が相次いでいる。売上高世界1位のZARAですら店舗数を縮小している。本格的に日本上陸したシーインは根付くか……。