肝臓は有害物質を無力化するフィルター

 解毒を行う肝臓には、小腸などの消化管から吸収された毒素が流れ込んでくる。

「肝臓はアルコールや薬などの毒素を分解し、身体に影響がないよう無毒化しますまた、体内で発生した有毒な物質を無毒化する働きも」

 毒素を慢性的にとっていたり、必要以上にとりすぎると、解毒作用が追いつかず、肝臓に負担がかかるので要注意。

「解毒を行うのは肝臓ですが、腸はその働きをサポートしています。そのため、解毒のために腸がきちんと働くようにすることも大切。現代人は、ストレスの影響で腸の動きが悪くなりやすいので、ストレスケアにも力を入れましょう」

 便秘に悩む人はデトックスを謳ったサプリメントが気になるだろう。しかし、《排便=デトックス》と単純にとらえるのは安易すぎる。

「便にも毒素は含まれますが、ほとんどがエネルギー産生したものの老廃物。老廃物もあるので広い意味では、デトックスとはいえるのかもしれませんが……」

 さらに健康法のひとつ「断食」の解毒効果についても、武田先生は疑問を持っている。

「日々の食生活で疲れた腸や肝臓などの消化器官を休ませ、機能の回復を促すことはできるかもしれません。ただ数日間、食事を止めて、ジュースクレンズをするだけでは、いわゆる『宿便』は排出できないと考えています。下剤を服用しないと大腸を空っぽにすることはできません」

断食で宿便を出すことはできない
断食で宿便を出すことはできない
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 日々の解毒が滞らないためには、やはり食生活がポイントになる。

「肝臓であればアルコールの過剰摂取。肥満、高血圧、糖尿病などの基礎疾患がある人は腎臓と肝臓、両方の機能が低下しやすいです。さらに、抗生物質などの薬剤を漫然とのみ続けている人も要注意」

 寒い時季、新陳代謝が落ちて体重が重くなったりすると、デトックスという響きが魅力的に思えるだろう。しかし、その効果は幻想かも……ということを覚えておきたい。

解毒を行うのは主に2つ!

腎臓 …… 水に溶ける性質のある毒素や老廃物を濾過して尿として体外に排出する。腎機能が低下すると尿量が減ったり、貧血になることも。

肝臓 …… 水に溶けない毒素を分解し、無毒化。腸に送り、便として排泄する。肝機能が低下すると、倦怠感や食欲不振、黄疸などが起きる。

教えてくれたのは……武田慶先生●日本形成外科学会認定専門医。美容外科医。皮膚科医。大学病院で再建や外傷などの手術を多く執刀し、美容皮膚科のTHE ONE.常勤医師に。