「どんな改造がアウトなのかわからない」という声も
「フィギュアの魔改造は、主に著作者人格権の侵害にあたると考えられます。著作者人格権には著作物の表現形式などを意に反して改変されない権利である、同一性保持権などが含まれています」
著作者の意に反する改造は、著作権侵害にあたるとのことだが、個人で改造を楽しむ分には問題ないのだろうか。
「個人の範囲で既製品の改造を楽しむことに関しては、今のところ暗黙の了解として許容されています。著作権というのはいわゆる“親告罪”にあたるので、被害者からの告訴がなければ警察も動けません。今回の件も、容疑者は著作権法違反のうち侵害品頒布の容疑で逮捕されていて、頒布目的だったため、逮捕されたと考えられます」(齋藤弁護士、以下、同)
つまりは今回の容疑者は、フィギュアに魔改造を施したからではなく、販売したために、逮捕されたということのようだ。
「改造の趣旨が性的な目的を持っていたか否かは、違法か適法かを分ける要素としてはあまり考慮されません。ただ、被害者が対応に動き出す可能性が高いとは言えます。また、性的な改造でなかったとしても、ビジネスとして大々的にやっているのであれば、それは放置できないと考える権利者も多いでしょう」
ネット上では、“どんな改造がアウトなのかわからない”“ボーダーラインを明確にしてほしい”との声も多く寄せられていたが……。
「日本の著作権法は、どんな改造でも違法となってしまうくらい厳しく定められています。それほど厳しい法律なので、権利者側が基本的に細かいことに目くじら立てないというスタンスをとることで、ファンが様々な嗜好で作品を楽しめるいまの状況が保たれているのです」
もし今後、一部の悪質な魔改造のせいで、あらゆる改造が取り締まられるようになってしまったら……ファンはたまったものではないだろう。