こうした騒動があった直後だけに、「Bloody Bomb」の炎上では、「『フェムテック』自体に猜疑心を抱いてしまう女性の姿も見られた」(同・前)そうだ。
もっとも、当事者を無視したフェムテック関連製品が炎上するのは、今回が初めてではない。昨年4月、ドイツ人男性3人が開発した「生理用品を取り換える際に使用するピンク色の手袋『ピンキーグローブ』」が、ネット上で物議を醸した。
的外れな生理用品に非難轟々
「ピンキーグローブは、まず手袋を着用した状態で使用済みの生理用品をつかみ、次に手袋を外す要領で生理用品をくるくると包んで密閉する……という製品。生理を経験したことのある人ならわかると思いますが、まったく意味のないものであり、ネットはたちまち炎上。また『生理は汚らわしく、隠さねばいけないものという偏見を助長する』といった批判も呼び、開発者は謝罪に至ったんです。
もともとピンキーグローブ開発者は、発明家が投資家から資金調達をするテレビ番組に出演し、同製品のプレゼンを行って3万ユーロを得たのですが、かつて同番組に登場した女性2人組が、生理用パンツのプレゼンを行った際は、投資者が現れなかったという話もありました。フェムテックの分野ですら、ジェンダー格差が存在することをまざまざと見せつけられ、衝撃を受けた女性は多かったのではないでしょうか」(ウェブライター)
また、10月14日〜16日に行われた『Femtech Fes! 2022』でも、「男性に気づかれることなく、生理中に性交できるスポンジ」が問題視された。
「フランスの『Love Mousse』という製品です。展示会では≪生理中の女性が性交渉する際に使用する、生理用タンポンにかわるアイテムです。性交の間、パートナーにほとんど気づかれることなく、快適に過ごすことができます。生理中のセクシャルライフをサポートします≫と紹介されていました。また、その制作意図は≪生理中の女性が「気持ちよく」性行為できるように、生理用タンポンに代わる非常に安全で快適な方法を提供したいからです≫とのこと」(同・前)
生理中でも性交を楽しみたいという女性もいるだろうが、SNSでは「男性のためのもの」とバッシングが吹き荒れた。≪パートナーにほとんど気づかれることなく≫という一文から、「“生理中でも男性の欲求に応えなければいけない女性の姿”を想像し、『これはフェムテックではない』と指摘する人が続出した」(同・前)そうだ。
2025年までに5兆円規模の市場になると言われ、今後もさまざまな企業が参入するであろうフェムテック。金儲けに走るあまり、当事者である女性の存在を無視したトンデモ製品やサービスが、世にあふれてしまわないことを祈るばかりだ。