プライベートも順風満帆だった。実家を離れてひとり暮らしを続ける中、30歳手前の2015年11月に結婚。容疑者のSNSには結婚相手と思われる女性とのツーショット写真がアップされていた。顔立ちも美しく、優しそうにも見えるその女性との結婚に容疑者は幸せいっぱいの笑みを浮かべているが、その約4年後に犯行に手を染めたことになる。
冒頭の知人男性はこう話す。
さすがに“離婚したの?”とは聞けなかった
「結婚したと聞いていたが、最近、どういうわけかひとりで実家に戻っていた。母親ら親族の暮らす母屋とは別の離れで寝起きしていたらしい。嫁さんはどうしたのかな、と思ったが、さすがに“離婚したの?”とは聞けなかった。外で見かけることはなく、ひっそりと生活していた」
実家は同県豊岡市の住宅街にある一戸建てだ。近隣住民らによると、男きょうだい3人の次男。幼いころに父親をくも膜下出血で亡くし、母親の手で育てられた。
同級生の母親はこう振り返る。
「ごく普通のまじめそうな男の子でした。明るくも暗くもなく、ちょうど平均的な子。問題を起こしたことは一度もありません」
別の知人女性は、「お兄さんと弟さんは成績優秀なのでコンプレックスはあったかもしれない」と内面を推しはかった。
「なんでも地道にコツコツとやるタイプだから地味で目立たないだけ。足はめちゃくちゃ速くて、中学時代は陸上の長距離選手だった。最後の駅伝大会ではアンカーを任され、トップを走るライバル校を猛追して区間賞の力走をみせた」(中学の同級生)
社会人になっても、フルマラソンで“サブ4”といわれる完走タイム4時間切りの目標をSNSに綴っており、走ることが好きだったようだ。
人生の節目節目で輝ける時間を過ごしながら、なぜ、いずれ確実にバレる犯行に走ったのか。