否定派はどんな番組なら見たいと思うか
では、「見ない」という人はどんな『紅白』なら見るのだろうか?
「昭和の歌が聴ける番組。当時を思い出せるような楽曲を集めてくれれば」(千葉県・61歳)
「前半と後半で、若い人向けとシニア向けで分けてほしい。昭和歌謡なら聴きたい」(兵庫県・45歳)
最近の“昭和レトロブーム”を考えると、この意見は納得できるかもしれない。
また、肝心の出場歌手の選考方法に首をかしげる人も少なくない。
「出演基準が明確にされておらず、特別感がない。みんなが知っている前提で紹介されても白ける。
明確な出演基準に基づいた出演者のラインナップ(投票制、世代別無差別アンケート、氏名を明確にしたプロの推薦枠など) で、忖度のない『紅白』を目指してほしい」(大阪府・39歳)
吉田さんも、「『紅白』が商業化しすぎているところがある」と話す。
「『紅白』は、人を動かしてお金も動かす一大イベント。そのため、新しいアーティストやアイドルを広めさせ、ファンを拡大させる役割も担っている。反面、『紅白』を飯の種にする“紅白商人”のような存在がいるのでは、と邪推してしまう」(吉田さん)
数々の辛辣な意見は、当事者であるNHKも把握しているもよう。12月1日に行われた定例会見で、NHKの前田晃伸会長は、「期待されている一方で、これでいいの?と批判も受けている」と認めているほどだ。
一方で、「長く続く番組はどうしてもマンネリ化しやすい。年代も広い層が見ている。広い世代に幅広く満足してもらうにはどうすればいいのか、というのを現場にはお願いして、テーマにふさわしい番組になれば」ともコメントしている。
「昨年は東京国際フォーラムで開催されたため、ステージが広かったこともあって、演出が冴えていました。“『紅白』やるじゃん”って見直したくらい。でも、今年は再びNHKホールに戻ってしまう。
マンネリ化を回避するというなら、若いアーティストを増やす以外にも、ほかにやることがあると思うのだけれど」(吉田さん)
ちなみに、今年のテーマは、「LOVE&PEACE」だそうだ。「テーマに沿った『紅白』を演出してもらえればいいなと思う」と前田会長は定例会見で述べたが、
「歌以外の企画がわざとらしくて見ていられない。昔のように、歌に本腰を入れてほしい」(群馬県・59歳)
「大みそかは忙しいので、長時間テレビを見ていられない。シンプルに歌うだけでいい。企画はいらない」(大阪府・52歳)
と、視聴者の声は手厳しい。昨年のテーマは「Colorful~カラフル~」、一昨年は「今こそ歌おう みんなでエール」。異なるテーマにもかかわらず、何年も続けてけん玉のギネス記録にトライしている時点で、「マンネリ」と指摘されても仕方ないような気も……。