‘13年には、東日本大震災の被災地である東北3県を回られたが、ご体調には波がある状態が続いた。新年一般参賀や各行事の折に、見覚えのあるドレスをお召しになることも。
「ギリギリまでご体調を見て公務への参加を決められる場合、事前に衣服を新調するのは難しくなります。お出ましになることを目標にするのが精一杯だったのかもしれません。ファッションの優先順位は次第に後回しになってしまったように感じました」
雅子さまの“働く服”は今も昔も変わらない
令和になってからも、10〜20年前に着用されたお召し物をリメイクして着こなされる場面を見かけるが、
「お代替わりにともなって、スーツやドレスを新調されたようです。例えば'19年10月の『海外日系人大会記念式典』でのオレンジ色のスーツは、新調されたのではないでしょうか。鮮やかな色のお召し物は、多くの人を明るい気持ちにさせてくれたと思います」
‘20年に入ると、新型コロナウイルスの影響によりお出ましの機会が激減。国民との交流がとても困難なまま迎えた'21年の元旦、両陛下は約6分半にわたる新年ビデオメッセージを公開された。天皇陛下と皇后陛下が並んでビデオメッセージを出されるのは皇室史上、初めてのこと。
「雅子さまは、18年ぶりにご自身の声で国民に語りかけるという大役を果たされました。お召しになったのは、柔らかいピンクベージュのスーツ。甘くも辛くもなく、押しつけがましくない絶妙な色味に、優しくてあたたかいお人柄が伝わってくるようでした」
ご成婚30年。平坦とは言い難い道を歩んでこられた雅子さまに対して、佐藤さんは最後にこう締めくくる。
「お好きな服を自由に着こなしていただきたいです。雅子さまにとっての“働く服”はきっと、今も昔もお変わりないのだから」