羽生のドームショー挑戦が楽しみに
「今年のスポーツ界は光と影、一喜一憂です」
そう語るのはスポーツライターの小林信也さん。
2月の北京冬季五輪は史上最多18個のメダル(金3個、銀6個、銅9個)を獲得し、サッカーW杯ではドイツ、スペインの強豪国に逆転勝ちした日本代表の活躍に日本中が熱くなった。その一方で東京五輪での贈収賄事件が発覚した。
「スポーツ界全体がこんなに悪者になったのはかつてないことです。スポーツはどんなに暗い世の中でも明るい話題でしたが、必ずしもそうではない部分が浮き彫りになりました」(小林さん、以下同)
選手で注目するのは、体操の内村航平(33)、フィギュアスケートの羽生結弦(28)、スピードスケートの小平奈緒(36)ら五輪のゴールドメダリストが現役を引退した。
リオ五輪後に体操界初のプロ選手になった内村は普及活動として体操イベントを企画している。
プロフィギュアスケーターに転向した羽生はソロアイスショーを成功させ、来年2月に東京ドームでのアイスショーを発表した。
小平は母校の信州大学特任教授に就任した。
「これまでは現役を引退するとコーチになって次の選手を育てることがスタンダードでしたが、スポンサーがつき、それを維持するためにはタレント的な活動をすることも必要で新しい時代に入ったと思います。
そうしたなかで勝負を越えた表現の世界に入った羽生くんには彼にしかできない画期的なことをしてもらいたいです。(東京ドームに)ファンを5万人集めただけの自己満足にならない、例えば宝塚のミュージカルみたいにアイススケートを効果的に使って氷上で演じるとか。
スーパースターがどんな新しいチャレンジをするのか楽しみです」
サッカーW杯の劇的な逆転勝利は、選手の活躍に加えて日本サッカー界の勝利という。
「1993年にJリーグが発足しましたが当時、一番人気の野球を覆そうと取り組んできた成果です。30年を経て人気も競技人口もサッカーが野球を上回りました」
来年のWBCは盛り上がらない?
大リーグの歴史を塗り替えた“二刀流”の大谷翔平(28)、史上最年少で3冠王に輝いたヤクルトの村上宗隆(22)らが日本代表選手として来年3月開催のWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場を予定している。
「ダルビッシュ(有)や鈴木(誠也)も出場しますが、野球日本代表は勝って当たり前の雰囲気があるのでサッカーW杯ほど盛り上がらないかもしれないですね。でもイチローが出場して優勝(2009年)したときには野球を始める子どもが増えたので代表の活躍を期待したいです」
28年ぶりに完全試合を最年少で達成したロッテの佐々木朗希(21)、男子ゴルフ日本オープンで '95年ぶりのアマチュア優勝を果たした蝉川泰果(21)、女子ゴルフの馬場咲希(17)は全米女子アマチュア選手権を日本人選手で37年ぶりに制覇など新星たちの活躍は来年も期待したい。