嵐の櫻井翔(40)は多才だ。『news zero』(日本テレビ系)でニュースキャスターを務める一方、『櫻井・有吉THE夜会』(TBS系)などのバラエティの司会を担当している。どちらもソツがない。特にニュースキャスターとしての知性とバランス感覚の良さが光る。
櫻井翔が『大病院占拠』で主演
俳優としても活躍している。1月14日からは日本テレビ系の冬ドラマ『大病院占拠』(土曜午後10時)に主演する。
俳優のキャリアは23年。これまでのドラマの主演作は20本もある。押しも押されもせぬ、第一線の俳優にほかならない。
もっとも、櫻井の代表作は何かと問われたら、考え込んでしまう。多くの人がすぐに思い浮かぶのは、視聴率的にも成功し、映画にもなった『謎解きはディナーのあとで』だろうが、この作品は北川景子(36)のアクの強い演技と椎名桔平(58)の怪演抜きには語れない。
櫻井が演じたのは主人公の執事兼運転手・影山だった。世界的にも有名な企業グループ「宝生グループ」社長の1人娘・麗子(北川)に仕える男だ。
立場を隠し、新人刑事として国立署に勤務している麗子は難事件にぶつかるたび、その一部始終を影山に語って聞かせた。
その話を聞いた影山は麗子の推理ミスを指摘。一方で、自分はスラスラと事件の謎を解いた。勝ち気な麗子が悔しがるのが愉快で、北川が得意とする役柄の1つだった。
国立署警部・風祭京一郎を演じた椎名は、シリアスな演技もうまいが、ダメな男役も絶品。風祭はマヌケで、推理力はトホホ。余計なところで実家が大金持ちであることを自慢するイタい男だった。北川と椎名がこの作品のコメディ色の核となった。
シリアスな場面でも櫻井は北川と椎名に支えられた。言い方を変えると、2人の存在感に押され気味だったと言わざるを得ない。そもそも原作の同名小説の主人公は麗子。櫻井による影山を主人公とすることには無理を感じさせた。
櫻井が主人公の大学教授を演じた映画『ラプラスの魔女』(2018年)もそう。特殊な予測能力を持つ少女役の広瀬すず(24)、自殺に見せかけた殺人事件を追う刑事役の玉木宏(43)、事件のカギを握る映画監督役の豊川悦司(60)に押されているように見える場面があった。誰が主演なのか分かりにくい場面もあった。
一方、ドラマはこのところヒットに恵まれていない。広瀬すず(24)とダブル主演した日本テレビ系『ネメシス』(2021年)で探偵役に扮したが、作品は高い評価を得るには至らなかった。