ドラマの良し悪しを決めるのは第一に脚本だが、櫻井にも責任の一端があるのかも知れない。「俳優専業でないのだから、仕方がない」という声も上がるはずだ。とはいえ、兼業は自分で選んだ道なのだから、それは理由にならない。共演者も視聴者の大半も「俳優以外もやっているのだから大目に見なくては」とは思わない。
嵐の仲間である松本潤(39)は1月8日スタートのNHK大河ドラマ『どうする家康』に主演している。二宮和也(39)は民放屈指の花形ドラマ枠である『日曜劇場』(TBS系)に2度主演した。『ブラックペアン』(2018年)と『マイファミリー』(2022年)である。櫻井が大河ドラマや『日曜劇場』に主演する日は来るのだろうか。
才能は間違いなくある。ニュースキャスターも司会も演技も「表現」という点で同じであるからだ。2016年に嵐がリリースしたアルバム『Are You Happy?』に収められた『Sunshine』などのソロ曲も評価も高い。歌もまた表現だ。
櫻井が20歳のときに演じたTBS系『木更津キャッツアイ』のバンビこと中込フトシ役も素晴らしかった。しょうもない仲間の中で唯一、普通っぽい青年だった。仲間の暴走に戸惑う姿に真実味と説得力を感じた。櫻井の素顔と重なり合う部分もあったのだろう。
主演のぶっさんこと田渕公平役の元V6・岡田准一(42)との息も合っていた。もっとも、これはジャニーズ事務所の同志ということで当然に違いない。その同事務所内での厚遇が俳優としての櫻井にとって、マイナスになっていたのではないか。
櫻井翔が『news zero』のキャスターになったいきさつ
櫻井の『news zero』のキャスター就任は2006年。当時、日テレの絶対的権力者だった故・氏家齋一郎元会長とジャニーズ事務所の故・メリー喜多川会長のトップ会談で決まった。
氏家氏はメリー氏と懇意であり、櫻井の父親でテレビ局の監督官庁である総務省の事務次官を務めた桜井俊氏(69)とも交流があった。そんなことから、氏家氏は櫻井の将来をわざわざ考え、キャスターに就任させた。
氏家氏に近かった日テレ関係者によると、氏家氏はメリー氏に対し、アイドルとしての人気はいつまで続くか分からないから、キャスターをやらせたほうがいい、と勧めた。氏家氏は慶應大学経済学部卒である櫻井の知性を買った。
こんな形で仕事が決まるタレントなんて聞いた試しがない。ジャニーズ事務所には幹部候補と呼ばれるタレントが何人かいるが、櫻井は別格扱いなのである。