一風堂のラーメンスープがヒット商品に

 そんななか、2021年10月に発売された一風堂のラーメンスープは缶スープの大定番であるコーンポタージュの1.5倍の売り上げを記録(※)。これまでの缶スープの中でいちばんのヒット商品になったのだ。いったい、このラーメンスープ缶はどういう経緯で作られたのだろうか。きっかけは意外にも、ゼリーだったとのこと。

※アキュアの自販機における2021年10/18 週、10/24 週の1箇所あたりの週間販売本数実績での比較による

「2020年に『天然水ゼリー』という商品を弊社のオリジナル商品として開発・発売したところ、発売当初からSNSで話題になり、緊急増産するなど大ヒットしました。ラムネ風味の水をゼリー状にした商品なので、当初はここまでヒットするとは思っていませんでした。その成功体験があったので、『飲料メーカーさんが考えないようなちょっと変わった商品を作ってみよう』という社内の空気があり、それが『コクと旨味の一風堂とんこつラーメンスープ』の開発につながっていきました」

 実際にラーメンスープ缶を製造しているのは飲料メーカーだが、この商品はJR東日本クロスステーションが企画を提案してメーカーと一緒に開発したもの。そのため、JR東日本クロスステーションが扱っている自販機で主に売られている。街中の自販機にないのはそのためだ。

 なぜラーメンなのかというと、開発のヒントになったのは以前にふかひれスープを販売した際の『このスープ、シメのラーメン代わりになるよね』というSNSのコメントだったとのこと。では、実際にシメのラーメンのように飲まれているのだろうか。

その場で飲まず、家に持ち帰って雑炊に

「SNSなどでたくさんのコメントが寄せられましたが、『おにぎりのスープとしてはかなり良い』といったように、おにぎりに合うという声は多く見られました。実際、私も昼休みに会社の近くにある駅の自販機で買って、おにぎりと一緒によく飲んでいましたよ」

 また、家に持ち帰ってご飯にかけたり、雑炊にして食べている画像もSNSで多かったという。これまでに30本以上買って飲んでいるという愛飲者に話を聞いたところ、自宅で缶2本分のスープに市販の中華麺を入れて食べたこともあると教えてくれた。やはり、炭水化物を食べたくなる味なのだろう。

 売れる時間帯としては午後から徐々に伸びていき、18時台がピーク。朝の時間帯に朝食と一緒に飲んだり、お酒を飲んだ帰りにシメの代わりに、が主流というわけではなさそうだ。