積極的に自分のかわいらしさをアピールする“ぶりっ子”は「ともかく男性に好かれたい、同性にどう思われてもいい」というメンタルの強さや潔さを持っていますが、サバサバは「異性によく思われたいが、同性にも悪く言われるのは嫌」という強欲と気弱さを同時に抱えています。
つまり、サバサバの源泉は「他人にどう見られているかを気にしすぎてしまう」ことだと言えるでしょう。無人島に住んでいるわけでない限り、人目を気にしないことは不可能ですが、この気持ちが強すぎると、誰も何も言ってないのに「私のことを周囲が笑っている」というふうに被害妄想的な思考に陥ったり、反対に急に攻撃的になることがあるので本人も周囲も注意が必要です。
さて、サバサバしているオンナなんていないと書きましたが、男性だってサバサバしている人はいないと思います。自分をフったあの子、不合格だった学校や内定をくれなかった会社、そんなに仕事が出来ているように見えない同僚が評価されているのを目の当たりにすれば、ねっちょりすることでしょう。真正サバサバという言葉もありますが、それも本当にサバけているわけではなく、「単にその人や事柄に興味がない、もしくは終わったことなのでどうでもよくなった」だけであり、人はねっちょりとサバサバを繰り返して生きているのだと思います。
自称サバサバというキャラ偽装
男女ともサバけてなんていないのに、なぜ女性の自称サバサバばかりが話題になるのかというと、それは女性をとりまく圧と関係があるのではないでしょうか。上述したとおり、「オトナ女子」のイタいと笑われる主人公は40代、現在NHKで放映中のドラマ「ワタシってサバサバしてるから」の自称サバサバの主人公はふくよかな体型をしています。「女性は若くて、細身が正統である」という考えが強いからこそ、若くない、細身でない女性が男性と親しくなりたいときに、口実というか秘策が必要となり、それが自称サバサバというキャラ偽装なのだと思います。努力で体型は保てたとしても、加齢は避けられません。ですから、すべての女性は自称サバサバ予備軍となり、サバサバ被害が頻発するのでしょう。