互いを思いやる友情に言及された両陛下。大学3年生の長女・愛子さまは、学業優先のため儀式を欠席されたが、和歌は披露された。

《もみぢ葉の散り敷く道を歩みきて浮かぶ横顔友との家路》

 昨年の秋、皇居の庭を散策し、散ったもみじの葉に覆われた道を歩かれた際、かつてご友人と一緒に歩いた学校の帰り道を思い出し、そのご友人のことを懐かしんだお気持ちを詠まれたものだという。

愛子さまの“本心”がこぼれて

「'20年4月に学習院大学に入学された愛子さまは、コロナ禍の影響でオンライン授業を継続。多くの学生が対面授業を再開してからも、“両陛下に万が一のことがあったら国民に迷惑をかける”と、外出を自粛しておられました」(同・宮内庁関係者)

 初めて大学のキャンパスで授業を受けられたのは、昨年12月下旬のこと。約2年8か月は、ご学友と机を並べることができなかった。

 前出の乃万さんが想起するのは、陛下がかつて語られたおことばだ。

「“学習院の初等科、中等科、高等科、大学で、どの時代がいちばん楽しかったと思われますか?”と、陛下にお尋ねしたことがあるのですが、陛下も私も同じ感想でした。“キャンパスライフを思いっきり楽しんだ大学時代とその友”だと。共に過ごした青春時代、そこには気の置けない友達が当たり前のようにいました。コロナ禍が、この貴重な時期を愛子さまから奪ってしまったことは残念ですが、愛子さまは前を向いて歩んでいかれることでしょう」

'22年の『歌会始の儀』は、成年となられた愛子さまが和歌を初披露されるということで注目が集まった
'22年の『歌会始の儀』は、成年となられた愛子さまが和歌を初披露されるということで注目が集まった
【独自写真】愛子さま、扇子を持ちながらキレキレのダンスを披露

 ある宮内庁OBは、愛子さまと両陛下の“温度差”が感じられたと話す。

雅子さまの和歌のとおり、皇室という特殊な環境において心を許せるご友人の存在は必要不可欠です。愛子さまの和歌に、孤独な大学生活への不安が込められているようにお見受けしたのは、私だけではないはず。愛子さまの“本心”に触れた雅子さまは、母親として胸を衝かれたのでは……」

 母の願いはひとつ。娘が再び“友”と家路につけますように─。


三枝昴之 歌誌『りとむ』発行人。日本歌人クラブ顧問。山梨県立文学館館長を務め、『歌会始の儀』の選者でもある。'21年に旭日小綬章を受章した

乃万暢敏 評論家。学習院初等科より中等科、高等科を経て、同大学卒業。陛下のご学友。現在も親交を続けている。YouTube「評論家 乃万暢敏チャンネル」(https://www.youtube.com/channel/UCEcAs-nkKXGn7583rVjwJ眞w/featured)