なぜこのように酷評される作品となったのか。メディア研究家の衣輪晋一さんはこう語る。
「もともと、日曜劇場は『安堂ロイド』など、異色の作品もたまにやっていました。それが福澤克雄さん演出の『半沢直樹』的な重厚な物語というイメージがいつの間にかつくことに。その状況の中で、堤幸彦さん演出の軽さが出ているので、物足りないと感じる人もいると思います」
勝負に出た“ゲットレディ”
“異色”のドラマを持ってきた狙いはどこにあるのか。
「視聴者にツッコミをさせたり、想像させたりする遊びがすごく入っていて、細かいところを見るドラマです。ブラック・ジャックの要素もそうですが、三石琴乃さんの起用もそうです。うさ耳をつけた占い師の役ですが、三石さんがセーラームーン・月野うさぎの声優なのでうさ耳。占う際に唱える呪文は“月に代わっておしおきよ”を反対から言っています。
そのようなディテールにこだわっているので、悪い意味で言えば落ち着いて見られない、チープだと思われてしまいます。ただ、これはドラマが一番面白かったといわれている'90年代後半から'00年代前半の作品の雰囲気。テレビが元気だったころのドラマを復活させようという意気を感じます」(衣輪さん、以下同)
勝負に出たが、これは諸刃の剣でもあるようで……、
「成功すればドラマ復活の“ゲットレディ”(準備)になりますが、失敗するとご乱心ということになります。どうなるかは今後の展開次第です」
4話までの平均視聴率は10・3%で日曜劇場としては低空飛行が続いている。巻き返してドラマ黄金期復活の狼煙とすることができるか。
衣輪晋一 メディア研究家。雑誌『TVガイド』やニュースサイト『ORICON NEWS』など多くのメディアで執筆するほか、制作会社でのドラマ企画アドバイザーなど幅広く活動中