寒〜いこの季節になると食べたくなる中華まん。コンビニでも安く手軽に買えて、小腹が空いたときに思わずパクリなんて人も多いのでは。そんな中華まんが全国各地で進化中。“ご当地中華まん”として年々盛り上がりを見せているのをご存知だろうか?
ラーメンと同様に日本で独自進化を遂げた“中華まん”
「ご当地食材、郷土料理も含むご当地グルメ、そこに行かないと食べられないご当地の名店のメニュー。そういったものが中華まんの具になっているのがご当地まんの定義となります」
そう教えてくれたのは、2003年より中華まんのグルメフェス『中華まん博覧会』を開催している『ご当地グルメ研究会』代表の松本学さん。全国各地の中華まんを食べ尽くしてきたスペシャリストだ。
そんな中華まんの歴史を紐解くと、室町時代に中国から伝わったものだと言われている。
「いま本店は東京にあるんですが、当時は奈良にあった『塩瀬総本家』の始祖が中国伝来の肉を詰めて食べる饅頭(マントゥ)にヒントを得て作ったと言われています。
でも、当時は仏教の教えで肉が食べられなかったので、代わりにあんこを詰めて提供していたそうなんです。それが評判となり各地に広まっていった。中華まんはあんこの入った“おまんじゅう”の元祖でもあるんです」(松本さん、以下同)
時代が流れ中国スタイルのいわゆる“豚まん”が日本に初めて登場したのは大正時代になってから。神戸、そして新宿で産声を上げた。
エビチリ、牛たん、松坂牛…増える“ご当地中華まん”
「神戸の南京町の中華街に、いまでもあります『老祥記』が1915年に日本で初めて豚まん専門店として開業しました。時を同じくして1927年。新宿の『中村屋』の創業者が中国で豚まんを食べて、日本人向けにアレンジした“天下一品支那饅頭”を発売。
これまでごく一部の中華料理店でしか食べられなかった中華まんは、一般の人にも親しまれるようになっていきました」
その後、ご当地中華まんのアイデアのルーツとなった商品が誕生する。
「昭和30年代のころに東京のある有名中華料理店が、エビチリまんとか中華料理のさまざまな具材を中華饅頭に入れて売り出したんです。
それに刺激された全国各地の中華まんを作る職人や企業がさまざまな具材を入れるようになり、その文化が発展。片手で食べられる手軽さもあり、高速道路のサービスエリアや道の駅などでも販売され全国に広まっていきました。
これと同時に、例えば仙台だったら牛タン、三重だったら松坂牛と他との差別をはかるために地元の名産などが使われるようになり、これは商売になるということでご当地中華まんが一気に増えて行きました」