バンカーの次期エース・ワラワラ・ビッグバン
そんなバンカーは『どうする家康』にも、もちろん登場。1月29日の放送で、北川景子演じるお市の方を乗せて野山を颯爽と駆け抜けた。
「後を追いかける徳川家康(松本潤)が乗っていたのは、ウチの次期エースのワラワラ・ビッグバン(13歳♂)です。
みんな“ワラワラ”と呼んでいます。大河の主役を乗せるのは初めてですが、成長著しい役馬です。初回のCGがあまりに微妙で物議を醸しましたが、松本潤さんは映画『隠し砦の三悪人THELASTPRINCESS』( '08年)のときからウチの馬に乗っていますから“松潤、実は馬に乗れないのでは?”なんて勘繰りは不要ですよ(笑)。ザッと砂煙を上げて止まるカッコいいシーンもすでに撮影しているので、期待していてくださいね」
群を抜いてうまくなった俳優
田中さんがあまた見てきた俳優の中で、乗馬の腕前がすごかったのは?
「正直に言って、ウチで練習をした俳優で群を抜いてうまくなったのは、小栗旬くんですね」
小栗とは映画『TAJOMARU』( '09年)からの付き合いだという。
「『鎌倉殿の13人』の主演に決まると“とにかくカッコよく馬に乗りたい”とウチに来て。“地味な練習になるけど我慢できるか? その代わり世界に出しても恥ずかしくないぐらい乗れるようにはしてあげる”と僕が聞くと、“やります”と。
どのスポーツでもそうだと思いますが、基礎の基礎の練習がずっと続くわけです。よくある“パカラッ、パカラッ”と走ることは実はそんなに難しくなくて。それよりも馬の重心を崩すことなく、お尻をぴったりつけ続ける技術のほうが大変で。
まさに、人馬一体という言葉のとおりです。小栗くんは本当によく来ましたね。多いときで週3回。地味な練習を文句も言わず延々と続けて。そして、本物の馬乗りになりました。競技会に出られるレベルですね」
小栗が乗っていたのは名馬・バンカーだが、
「バンカーは本番になると“よし!”とスイッチが入り、頑張りすぎちゃうときもあって。基礎がしっかりできている小栗くんは、そんなバンカーを一瞬ですっと収めていました。だから、あれだけ余裕のある映像が撮れたんです。『鎌倉殿の13人』を馬関係者が見ても“彼は本当に乗れるね”と。とても評価が高かったゆえんです」
乗馬クラブ・ラングラーランチ
ウエスタンな雰囲気の乗馬クラブ。馬場内での引き馬は1人1000円(10分)、コーチ付きのレッスンは平日5000円、土日祝日6000円(45分)など。上級者向けの外乗コースももちろんあり。