出演者がカラオケをするだけの異色番組がなぜ人気に?

 続く7位にランクインしたのは、『THE夜もヒッパレ』(日本テレビ系)。

「皆でカラオケしてるような雰囲気が好きだった。司会の三宅裕司さんたちの掛け合いも面白かった」(長野県・46歳)。「いろいろな歌手が持ち歌以外の曲を歌うのが新鮮だった。わちゃわちゃして楽しかった印象がある」(宮城県・47歳)

 という声からもわかるように、基本的には出演者がカラオケをするだけの異色音楽番組だが、カトリーヌさんは「時代の流れをつかんだ好番組」と評す。

「『夜もヒッパレ』は、'94年に放送スタート。その2年前の'92年には、通信カラオケが誕生しました。それまでは、レーザーディスクでしかできなかったカラオケが、全国津々浦々に楽曲配信ができるようになり、誰でも好きな歌を歌えるようになりました。そうした背景を上手にくみ取ったからこそ人気を博した」

 懐かしのアーティストが、持ち歌ではない他者の曲を歌う姿が新鮮で、橋幸夫がSMAPを歌ったりするなど、「やっぱりこの人って歌がうまいんだな」なんて思った人は少なくないはず。

 そして、8位は『ポップジャム』(NHK総合)。「好きだったビジュアル系のバンドがよく出たから」(東京都・36歳)

 この意見にカトリーヌさんも膝を打つ。

14年間続いた『ポップジャム』は爆笑問題らが司会を
14年間続いた『ポップジャム』は爆笑問題らが司会を

「『ポップジャム』の司会をしていた爆笑問題のおふたりが冗談半分でおっしゃっていたんですけど、『ポップジャムはGRAYとラルクとLUNA SEAでもった』と(笑)。

 よくよく考えると超人気アーティストをNHKホールのサイズ感で見ることができるって贅沢ですよね。『ポップジャム』でしか味わえないライブ感がありました」

令和の時代にふさわしい音楽番組が登場する日も近い!?

『速報!歌の大辞テン!!』で司会を務めた徳光和夫
『速報!歌の大辞テン!!』で司会を務めた徳光和夫

 9位は、同じ時代に放送されていた『速報!歌の大辞テン!!』(日本テレビ系)で、今週のトップ10と過去のトップ10を比較し、時代性や情報性を加味した見せ方に「ためになる」と答えた読者が多かった。

「'90年代後半になると、以前よりもなかなかアーティストが登場してくれないといった事情もあったはず。過去の映像を使いながら、『音楽情報番組』に昇華させたのは、さすが日テレだなと思います」(カトリーヌさん)

 10位は「少年隊のドラマコーナー『野良犬伝説』がどうしてももう一度見たい! アイドルがコントと歌と両方披露するのが良かった」(大阪府・50歳)といったコメントが寄せられた『ヤンヤン歌うスタジオ』(テレビ東京系)。

 なんともクセの強い意見に聞こえるかもしれないが、「こうした特異性こそ音楽番組には大事ではないか」とカトリーヌさんは語る。

「音楽番組が減少したのは、かつてのように一家団らんで楽しむようなテレビの時代ではなくなったのもあると思います。また、芸能事務所とレコード会社によって流行歌が作られていた時代から、今はYouTubeやTikTokといったネット・SNSから発信されていく時代に変わりました。しかも、その速度が速く、流行のはやり廃りも速い」

 だからこそ、テレビで音楽番組を作るなら、「テレビでしか見ることができない特別感が求められる」とカトリーヌさんは提案する。

「例えば、昨年末の紅白歌合戦に登場した、桑田佳祐さんをはじめとした同級生5人が集ったスペシャル・バンドは好例。

 あるいは、ネットでバズった歌やバンドを、かつての『三宅裕司のいかすバンド天国』のように先取りして紹介していく、“TikTok天国”みたいな番組も面白いかもしれない。テレビでしかできない音楽番組が、まだまだあるはず」

“歌は世につれ世は歌につれ”とはよく言ったもの。今回のトップ10を見ると、音楽番組も世相を反映していることがわかるはず。だったら、令和の時代にふさわしい音楽番組が登場する日も近いかもしれない!?