カードというより政府への不信感!?
必要性への疑問とともに、多く上がったのが【個人情報の流出が心配】という声。
昨年12月の個人情報保護委員会の年次報告によると、企業や行政機関からマイナンバー情報が紛失や漏洩したとの報告は、2017年度から'21年度までの5年間で、少なくとも約3万5千人分に上るということが明らかになった。
「以前、データが入ったUSBメモリをなくして情報漏洩があったというニュースも。個人情報の問題は不安しかない」(38歳・会社員・神奈川県)という声のほか、
4位の【紛失、盗難の心配】に関しても、「紛失して誰かの手に渡ったら不正利用される可能性もあるのに、保険証と一体になったら持ち歩かざるをえなくなる」(50歳・パート・鹿児島県)と、マイナカードを持つこと自体への不安を多くの人が抱えていることがわかる。
「セキュリティーの問題なので100%大丈夫とは言いづらいのですが、マイナンバーカードの仕組みを理解すると、少しは不安が軽減されるかもしれません。
カードのICチップの中にすべての重要な情報が一元化して入っているわけではなく、例えば、国税に関する情報は税務署に、年金に関する情報は年金事務所に、という具合に情報は分散して管理されています。
仮にどこか1か所で情報が漏洩したとしても、マイナカードひとつで芋づる式にすべての情報を抜かれてしまうといった仕組みではありません」(風呂内さん)
5位は【悪用されないかの心配】。
「資産を国に監視されたりするのではないかという不安がある」(42歳・自営業・大阪府)、「まずマイナカードを普及させたいという姿勢自体、国民のメリットから逆算して制度設計されたとは思えない」(53歳・会社経営・愛知県)など、情報自体の不正利用というよりも、情報を取り扱う政府に対する不信感の声が多く並んでいる。
「必要性や取得のメリットの説明が十分とはいえず、マイナカード普及の足かせとなっていた事実はあるかもしれません。ただ、ある程度のシェアがなければ、使えるサービスが充実しないという側面もあります。
これだけカード所持者が増えた今だからこそ、利用できるサービスがさらに増え、より利便性の高いカードになっていくという好循環になるといいですね」(風呂内さん)
今後は「こんなに便利なのか」と驚くようなサービスなど、いい意味での“後出しジャンケン”に期待したい。
(取材・文/吉信 武)