交際会見から一転、突然のスキャンダル
'82年、あべはスキャンダルの渦に巻き込まれる。ギタリストとの交際会見をした数日後に、彼の婚約者と名乗る女性が3人も現れ、大騒動に。あべは連日マスコミに追われた。さらに、その2年後には「歯科医と婚約」とマスコミの先走りで報道されてしまう。相手はまだ付き合ってもいない、男友達だった。
事実は異なるのだが、2つの婚約騒動により、世の男性の憧れの的だった清らかなあべ静江のイメージは崩れた。騒動が原因で降りた仕事もあった。失ったものは少なくなかっただろうが、あべは、冷静にこう振り返る。
「騒動の渦中はそりゃイヤでしたよ。私が自分の言葉で説明して、それを報道してほしかった。ただ、自分のイメージを傷つけられたとは思わなかったですね。例えば私が人形なら、姿形が変わらず、清らかなままいられるけれど、私は生き物だから。外見も変わっていくし、いろんなことが起こって当然だと思うんです」
そもそも男性に依存するタイプではない。結婚願望もあまりなかったという。
「私自身は、どの恋愛も未来を保証されたものとは思っていませんでした。恋愛は揺れるものだし、壊れることもある。ギタリストの彼とも、交際が発覚したから交際会見をしただけ。なのに“婚約会見”と報道されて。私の中では彼と結婚するという意識は、まったくありませんでした」
そして、こうつぶやいた。
「結局、結婚しなかったのは、結婚したいと思える人と会えなかったからですね」
これから出会うかも、と水を向けると─「そうね」とおちゃめに笑い、話を続ける。
「でも、これからの結婚は、お互いに介護したり、看取ったりする“看取り婚”になっちゃう。いろいろ考えると大変そう。若いとき以上に恋愛も結婚も難しそうね(笑)」