事務所を移籍した理由
父・佐藤浩市も祖父・三國連太郎さんも“舞台に立たない俳優”として知られているが、プライベートでは母親がもともと舞台女優だったこともあり、よく一緒に舞台を見に出かけていたという。
「僕、これまでに『マクベス』を4本ぐらい見ているんですけど、佐々木蔵之介さんが演じた“ひとりマクベス”は強烈でした(2015年)。たった1人で20役ぐらいやってたんですよ。“すげえな、この人!”って圧倒されたのと、まだ自分が役者になる前でしたが“うわ、これはやりたくないわ”って思って(笑)。でも今回のカスパーも1人何役こそやりませんが、それに近いことをしていて。毎日が不安ですし、いい意味で楽しめてもいます」
父も祖父も長年にわたって俳優として活躍を続けてきた。どのくらい先まで、自分の将来像をイメージしているのだろうか。
「役者として“ものを作る”現場にいられて、本当に幸せではあります。ただ以前はなんとなく“この仕事を一生続けていくんだろうな”って思っていたんですが、最近少し変わってきました。1回やめて違う職業をしてみてもいいし、また役者に戻ってくるでもいいですし。決めきらないっていうことが大事なのかなって」
忙しい日常の中で、いま大切にしている時間は?
「サウナに行ったりとか、自分の家でもお風呂にゆったり入るのが好きです。考えなくてすむんですよ。自分の脳に余白をつくることっていうのは、やっぱり大事かなと思います」
◆環境が変わってサプライズ!
「新しい環境を求めて事務所を移籍しました。今のマネージャーとは、デビュー作の映画『菊とギロチン』(2016年撮影、2018年公開)の現場で会っているんです。きちんとコミュニケーションがとれるしダメなことはダメって言ってくれる。そういうのがうれしいですね。
今の事務所の役者さんともいろいろ縁があって、門脇麦さんとは2作目の『ナミヤ雑貨店の奇蹟』で共演しています。昨年、僕は京都で撮影していたんですけど(4月28日公開の『せかいのおきく』)、たまたま麦さんも2か月くらい京都にいてマネージャーを含めて会食しました。
今回、舞台をやるのは“こういう話があるけど”って言われて自分で決めたことですが、たぶん環境が変わらなかったらなかった。これからも自分自身へのサプライズがある気がします」
舞台『カスパー』
■東京公演
3月19日〜31日 東京芸術劇場シアターイースト
■大阪公演
4月9日 松下IMPホール
撮影/矢島泰輔 取材・文/川合文哉