澤井:かつて世界一を獲った宮本さん(ロサンゼルスオリンピック時に代表選手の一員として金メダルに貢献)が語ると説得力があります!
宮本:いやいや(笑)。でも僕らが現役の時と比べると、今の令和の日本代表の雰囲気はかなり良いと思いますよ。
澤井:どういうことでしょうか?
宮本:例えばダルビッシュなどのベテランの先輩から後輩に歩み寄っていく光景って、僕らの世代ではなかったんですよ。むしろまったく逆で、王さんや長嶋さんなどの先輩選手にどこか話しかけちゃいけない空気感があった。あ、別に王さんや長嶋さんが怖いという意味ではないですよ(笑)。縦社会みたいな価値観が根付いていたんです。
だからこそWBCのように、海外組が合流して一緒に戦う機会は本当に貴重ですし、後輩も素直な選手が多いのでね。ダルビッシュは現在36歳にもかかわらず、つい先日に6年契約を更新したばかり。こうした息の長い選手が日本の選手にも知見を与えてくれることで、日本の野球界も活性化する。今の日本代表は団結力の強いチームだと思いますよ。
情報番組で意識していたこと
澤井:たしかに良い意味で穏やかになっていくというか。時代の価値観が変化していますよね。
宮本:ファンとの距離感も今の選手の方がフランクですよね。現役時代の王さんとか長嶋さんは雲の上のような存在で、ファンと交流するようなことも滅多になかった。別に大谷もダルビッシュも手が届かないような選手なんですけど、どこか距離感が近い。これも時代だなと感じますね。
澤井:宮本さんは、現役引退後にタレントやコメンテーターの仕事でメディアに露出されていたじゃないですか。そう言う意味では親近感が湧きます! 引退後に表向きの仕事を選んだきっかけはなんだったんですか?
宮本:当時はジャイアンツで現役を終えたら、旅番組やクイズ番組などのバラエティーに出てた人も多かったんですよ。自然と次のステップが用意されていたというか。というのも、昔は今より選手生命も短かったし、現役時代の給料だけで生涯暮らすのは難しかったんですよ。
だから最近、36歳のダルビッシュが契約を6年延長したのにびっくりして。しかも年俸20億円ほどでしょ! 本当もう夢のような話、まさにアメリカンドリームですよ(笑)。佐々木大魔神も言ってましたね。やっぱメジャーに行くことで一生分稼げると。僕らの時代はメジャーに行く人もいなかったですからね。だからこそ今でも地道に頑張らせてもらってますよ(笑)
澤井:めっちゃ現実的な話ですね(笑)。やはり宮本さんといえば『ズムサタ』のイメージが強く、僕も小学生の頃など見てました。情報番組に出演するうえでのスタンスはありましたか?
宮本:結構バラエティやエンタメに寄せた感じで、堅苦しくない方向性にしようとは心がけてましたね。
澤井:意外ですね。どちらかというと専門的な知識で解説しているようなイメージもありましたが。
宮本:僕も当初はそういう感じで試合の解説を詳細にしようかなと思ったんですけど、冷静に考えたら放送枠が土曜日の朝早い時間じゃないですか。そうすると観ている方々は、平日の仕事で疲れたサラリーマンとか、これから遊びに出かける子供なんですよ。どちらかと言うとコアなファンよりライトな層が多い。
そこで専門的な内容をぐちぐち解説してもなんか重いじゃないですか(笑)。自分だったら『なんで休日の早朝から眉間に皺寄せて、ほうほうって小難しい解説を聞かなきゃいけないんだ』って思ったんですよ(笑)