ほどなくしてキキに恋人ができた。彼は横須賀基地所属の海軍に所属しており、ある日同僚のトニーを紹介された。
「トニーはミシシッピ州出身の黒人男性で、2つ年上の19歳。ヒョロっと背の高い人で、目がくりっとしていて、まさに私のストライクのタイプでした。トニーに会った瞬間、ひと目で恋に落ちてしまった。
『トニーのこと、どう思った!?』とキキに聞かれ、『すっごくタイプ!』と、もう即答です。キキの彼が、『トニーも気に入ったって!』と言う。じゃあ今度は2人で会おうということになり、そこからすぐお付き合いが始まりました」
シンシアが運命の恋と語る、トニーとの出会い。2人で過ごした時間は生涯忘れられないものとなる。
「2人の定番デートといえば、ラーメン屋巡り。彼はラーメンが大好物で、よくあちこち食べに行きました。けれどアメリカ人というのは麺をすするのが下手で、どうしてももぐもぐ噛んでしまいがち。『違う違う、ずるっとすするの!』と私が手本を見せては、トニーを特訓したものでした。
トニーのエスコートがあれば、私も基地の中に入れます。トニーは基地のバスケットボールチームに所属していて、私もよく試合を見に行きました。バスケのチームはAとBの2つあり、トニーは花形のAチーム。彼は本当にバスケットがうまかった。トニーはバスケが大好きで、それが後々私たちを引き裂くことになるとは、考えてもいませんでした」(次回に続く)
<取材・文/小野寺悦子>