個人事務所・エスカンパニーで実務を担当するのが、志村さんの甥・裕司さん。仕事内容について尋ねた。
「私は会社を引き継いでいるという感じです。これからも権利関係をやっていきます」
今後も志村さんの個人事務所として、イザワオフィスやテレビ局とのやりとりをするという。
「けんさん個人の財産を管理していると考えていただければ、いいと思います」
やはり、三鷹の自宅や熱海のマンションをどうするかはまだ決まっていないと話す。
─けんさんには、どのくらいの遺産があったのですか?
「詳しいことは言えません(笑)……スミマセン」
話を聞いた印象だと、とても“4億円豪邸”とは言えないようだ。
気になる志村けんが暮らした“豪邸”の資産価値は?
実際はどのくらいの価値があるのか。地元の不動産業者に教えてもらった。
「確かに志村さんのご自宅は豪邸ですが、戸建ては古くなると財産としての価値は目減りします。築後36年たっているので、建物自体の評価は出せないですね。最寄り駅から遠いのが難点ですが、閑静な場所ではありますので、土地代としては1億円以上にはなるでしょうか」
住む人がいないのだから、このまま維持する必要はない。しかし、放置すれば建物は劣化していく。売却して現金化すれば、相続のために分割しやすいようにも思える。
「とはいっても、100平方メートル以上の広い土地はなかなか売れないんですよ。2軒の新築に分割するのが現実的でしょう。デベロッパーに売ったら、8000万円くらいになるのでは。物価高で、家を壊すのにも数百万円かかるから、それくらいに見積もられてしまいます。志村けんさんのファンが買い取って、保存してくれたら一番いいでしょうね。3年も人が住んでいないので、傷んでいる部分の工事は必要でしょうが……」(前出・地元の不動産業者)
志村さんの“ファン”が遺品を引き継いだ例がある。高級車のロールス・ロイスは、ファンの男性が購入した。
もう1台の愛車、キャデラックを500万円で譲り受けたのは、志村さんを師匠と仰ぐ千鳥の大悟だ。
「キャデラックの中で最も大型のエスカレードというSUVです。幅が2m以上、背の高さも2m近いクルマで、大悟さんの住む都内のマンションの地下には入らない。近くの駐車場を借りて置いています。ごくたまに奥さんが運転していますが、ほとんど駐車場に置いたままの状態。そもそも、大悟さんは運転免許を持っていませんから(笑)。大悟さんにとって、キャデラックは実用性より志村さんの思い出なんじゃないかな」(テレビ局関係者)
家にも車にも、志村さんの思い出は詰まっている。ファンにとっては、それが何よりも大切な価値なのだ。