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ー 問題はチェック体制の甘さ

 確か、生放送のはずである。

 3月31日の放送で最終回を迎えた日本テレビ系情報番組『スッキリ』。最後の最後に、またしても無知をさらけ出して、番組は17年間の歴史に幕を下ろした。

 テレビでもラジオでも、生放送中に不適切な発言があったり、顔写真を取り違えたりしたら、オンエア中に訂正を入れることができる。ただし、その前提がある。間違いが間違いであった、と気づけるかどうかの危機管理能力。『スッキリ』にはそれがなかったということだ。

問題はチェック体制の甘さ

 お笑いコンビ「オードリー」の春日俊彰が(44)が、栃木県の那須どうぶつ王国の「ペンギン池」に“わざと”複数回、落下した事件。3月24日に放送された。その内容はメディアですでに数多く報道されているので、ここでは触れない。

 問題は、スタジオ出演者、並びに総合演出やプロデューサーらスタジオスタッフからまったく「これはいけない!」という声が上がらなかったことだ。

 春日が落ちたとき、日テレのアナウンサーらの出演者は、テレビ画面右上のワイプで抜かれていたが、そろいもそろって能天気に大笑いしている。森圭介アナウンサーに至っては、資料で笑い顔を隠すほどの大笑い。

「MCの加藤浩次があおったとか、春日がわざと落下したとか、バラエティー目線で批判されていますが、問題は日テレの体勢そのものにあります。動物にストレスをかけるということの意味をわかっていない。その証拠に、番組終了後に那須どうぶつ王国が抗議の声をあげるまで、社内ではまったく問題視されなかったそうです」(スポーツ紙芸能担当記者)

『スッキリ』では約2年前、2021年3月12日の放送で、アイヌ民族への差別発言を放送し、チェック体制の甘さを露呈したことがある。

「その際も、社内で真っ先に気づく人はいなかった。外部の指摘を受けて慌てふためいた。今回の春日の落下事件と同じですよ。ニュース番組などでは、原稿読みをするアナウンサーの隣で、原稿内容をチェックし、すぐさま訂正を差し込む仕組みになっている。そういう危機管理能力がまったくないために、番組内で謝ることができなかったわけです」(前出・スポーツ紙芸能担当記者)

 アイヌ民族を傷つけた発言の際は、後日、同番組内で30分にわたり「検証」を放送した。

 番組が終わってしまった今回は、同番組内で「検証」することはできない。このまま、逃げ切ってしまうのか。後番組の中で「検証」をきちんとするのだろうか。国民の共有財産である電波を預かる放送局として、すっきりけじめをつけることが必要だ。