有罪判決を受け服役中、母親も他界。刑務所を出所後、家人のいない自宅に戻った宇宙太容疑者に対し、前出の女性住民は「ここで生活を続けるならばご近所さんに謝罪しなきゃダメよ」とアドバイス。身寄りのいなくなった容疑者が周辺宅を単身訪ねていくのは酷だと思い、謝罪行脚に同行したという。
「ご迷惑をおかけしました。もう二度とこのようなことはしません」
と頭を下げて回ると、近所の住民はうるさく言わなかったという。
「罪を償ったんだから、今度こそまじめにやらなくちゃね」
と励まされ、
「わかりました。頑張りますので」
などと誓った。
ようやく伴侶を得て安心していた矢先に…
「逮捕時に勤務していた福祉施設から“罪を償ったら戻っておいで”と温情をかけられたため、施設の料理人として職場復帰できました。人間関係に恵まれていたんです。私生活では、そのうち同年輩とみられるまじめそうな女性と暮らすようになり、趣味のガーデニングに力を入れるなど、2度目のやり直し人生をスタートさせました。亡くなったご両親はさぞかし心配だったでしょうが、ようやく伴侶も得て、さすがにもう大丈夫だろうと安心していたんです」(前出・女性住民)
自宅敷地には愛情を込めて育てていたという色鮮やかな花が何種類も咲き誇り、鉢植えは赤い実をつけるなど丁寧に世話していた様子がうかがえる。多くの地元住民が熱心に水やりする姿を目撃しており、「きれいな花だね」と声をかけると嬉しそうな表情をみせたという。
地域に受け入れてくれた恩に報いようとしたのか、自治会の仕事を「僕がやりますよ。迷惑かけたから」と2年連続で買って出るなど奉仕の姿勢だった。
休日には、同棲する女性と友人らを数人招いて玄関先でバーベキューするなど充実した生活を送っていた。
そして4月13日早朝、容疑者宅近くで、この辺りで見かけない男性数人が突如現れたという。刑事だった。逮捕状が出ており、犯行に使ったとみられる軽自動車の助手席付近を調べる刑事たちを、同棲中の女性が玄関先に立って呆然と眺めていたという。
「籍を入れているのか、内縁の妻かはわかりません。逮捕の翌々日、同棲女性は洗濯物を取り込むと、自宅の雨戸を全部閉め、愛犬を連れて家を出ていきました。彼(宇宙太容疑者)の名前はもう聞きたくありません。母親の気持ちを考えると、いまは亡くなっていてよかったと思うだけです」(前出・女性住民)
母親は生前、息子をかばうようにこう話すことがあったという。
「やさしい子。本当はやさしい子なのよ」
何度も若い女性を傷つけ、何度も周囲を裏切った。手口を少しずつ変える犯行態様からは巧妙さもうかがえる。懲りなさすぎる男にかける言葉は、もう、さすがに、だれの口からも出てこなかった。